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▼ 裁決事例集 No.61 - 39頁
 書類の提出等に係る効力の発生時期については、一般には、その書類が税務官庁へ到達した時(いわゆる到達主義)に効力が生ずると解されるところ(民法第97条第1項参照)、納税申告書については、郵便事情等を考慮し、また、納税者と関係税務官庁との地理的間隔の差異に基づく不公平を是正するために、到達主義の例外として、国税通則法第22条で、「納税申告書が郵便により提出された場合には、その郵便物の通信日付印により表示された日にその提出がされたものとみなす。」と規定されているものである。
 請求人は、通信日付印が平成12年3月16日であったとしても、同月15日中に郵便ポストに投かんしたものを期限内申告書として取り扱わないのは不合理である旨主張するが、一方で、本件封筒には平成12年3月16日の通信日付印が押印されることを知っており、さらに、国税通則法第22条の規定により、本件申告書が通信日付印の日である平成12年3月16日提出されたものとみなされることを知りながら、本件申告書を本件郵便ポストに投かんしたと認められる。また、当該郵便局では、平成12年3月15日及び同月16日において、平常どおりの業務が行われており、誤って同日の通信日付印が押印された事実は認められない。
 そうすると、本件申告書は、国税通則法第22条の規定により、本件封筒の通信日付印により表示された平成12年3月16日に提出されたものとみなすのが相当であり、本件申告書は期限後申告書となるので、本件更正処分は適法である。
 なお、請求人は、申告書を3月15日中に郵便ポストに投かんした場合も、時間外収受箱に投かんした場合と同様に、期限内申告書として取り扱うべきである旨主張するが、本件申告書は郵便により提出されたものであるから、原処分庁が、国税通則法第22条の規定に従い、本件申告書を期限後申告書として取り扱ったことは相当であり、この点に関する請求人の主張には理由がない。
 本件申告書は期限後申告書であるが、国税通則法第65条第1項に規定する還付請求申告書に該当し、かつ、本件更正処分も還付金の額に相当する税額を減額するものであるので、本件更正処分により賦課すべき加算税は、同項に規定する過少申告加算税ということになる。
 ところで、本件更正処分に伴い、国税通則法第66条の規定に基づき賦課した無申告加算税の賦課決定処分については、その適用条文を誤ったものであるが、無申告加算税又は過少申告加算税は共に無申告又は過少申告による申告義務違反の発生を防止する趣旨で課される税であり、本質において変りはないと解される(最高裁昭和40年2月5日第二小法廷判決参照)ことから、無申告加算税の賦課決定処分のうち過少申告加算税相当額を超える部分を取り消すのが相当である。
平成12年10月10日裁決




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