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▼ 平成23年2月2日裁決
《ポイント》
 臨時所得となる3年以上の期間の補償に該当するか否かについて、補償の期間が契約等で示されていない場合などは、補償に至った各種事情等を総合的にみて、補償に係る金額の算定の基礎とされるべき内容及びその金額に基づき判定するのが相当と解される。
 この事例は、建物の賃貸借契約の終了後も一定の賃料収入が保証された上で生じた債務免除益が3年以上の期間の補償に該当するか否かにつき、判断の基礎となる1年当たりの減収額を、当該賃貸借契約終了前の1年当たりの賃貸料の額(収入していた金額の全部)とすべきか、同契約終了前後の1年当たりの賃貸料の額の差額に、新たに負担することとなる修繕費の額を加味した額(収入していた金額の一部)とすべきかが争われたものである。
《要旨》
 原処分庁は、債務免除により補償されたのは請求人らがF支社から受領する年間賃貸料であり、そうすると債務免除益は3年以上の期間の不動産所得の補償には当たらない旨主張する。
 しかしながら、補償に係る契約等において、補償に係る金額が3年以上の期間の補償に該当するか否かの判定について、賃借人が賃借物件を転貸しており、賃貸人との賃貸借契約期間の満了後は、賃貸人が、転借人との間で新たに賃貸借契約を結び、転貸人の地位を承継することに伴い補償されたような場合で、その内容が不動産貸付業務の形態の転換に伴い減少することとなる収入の額又は新たに負担することとなる費用の額を考慮した補償と認められる場合であれば、補償に係る金額が、減少することとなる収入の額又は新たに負担することとなる費用の額の3年以上の期間に相当する金額であるか否かで、臨時所得の要件である3年以上の期間の補償に該当するのかを判定するのが相当である。
 したがって、賃貸借契約の終了に伴い、賃貸住宅に係る賃貸人たる地位を承継し、賃貸借契約終了前の賃借人(転貸人)に代わって賃貸住宅の入居者から賃貸料収入を得ることができた請求人らに係る1年当たりの減収額は、請求人らの所有する住宅の賃借料の額と転貸人が入居者から受領していた賃貸料の額から転貸人が負担していた修繕費の額を控除した額との差額とするのが相当であり、そうすると、F支社が請求人らに対して行った債務免除に係る補償の期間は3年以上の期間の不動産所得の補償に該当する。
《参照条文等》
 所得税法第2条第1項第24号、第90条
 所得税法施行令第8条第3号
《参考判決・裁決》
 昭和59年1月24日裁決(裁決事例集No.27・63頁)、平成19年3月12日裁決(裁決事例集No.73・265頁)、平成20年4月15日裁決(裁決事例集No.75・260頁)




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