TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る


▼ 裁決事例集 No.68 - 59頁
 請求人は、本件貸付けによる収入が年間700万円以上であること、また、9年間事業規模相当として申告してきたことなどを理由に本件貸付けは不動産所得を生ずべき事業に当たる旨主張する。
 事業性については、[1]営利性・有償性の有無、[2]継続性・反復性の有無、[3]自己の危険と計算における事業遂行性の有無、[4]取引に費やした精神的肉体的労力の程度、[5]人的・物的設備の有無、[6]取引の目的、[7]事業を営む者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点を総合勘案して判断されるべきところ、本件貸付けについては、不動産貸付けの目的、営利性、継続性などを部分部分としてみた場合においては、直ちに事業ではないということはできない要素も認められる。
 しかしながら、本件貸付けは、請求人が代表取締役社長を務める同族会社F社への専属的な貸付けのみであり、事務所の修理等は専ら賃借人である同社が主導的に行い、賃借料の決定は同社の業績が優先的に考慮されていることから、請求人における事業遂行上その企画性は乏しく、危険負担も少ないと認められる。また、事務所は、F社が利用しやすいようF社が所有する事務所の1階とワンフロアで一体的に利用できるよう改造されており、その構造からみて他に賃貸等が可能である等の汎用性がないなど、これらの点における請求人の自己の危険と計算における事業遂行性は希薄であると認められる。
 さらに、請求人の配偶者Gが大半の時間を費やして行っている清掃などには、本来F社がその業務として行うべきものが含まれており、GがF社の取締役に就任していることに照らすと、本件貸付けにおいて貸主として本来行うべき維持管理業務の程度は、実質的には相当低いことが認められる。
 これらの諸点を総合して勘案すると、本件貸付けは、社会通念上事業と称するに至る程度のものとは認められないと判断するのが相当である。
 なお、請求人が本件貸付けを9年間事業規模相当として申告し、原処分庁がこれに対して是正しなかったとしても、そのことをもって本件貸付けの事業性が認められるものではない。
平成16年9月27日裁決




類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

審査請求人が営む不動産貸付けについて、同族会社1社への専属的な貸付けであり、本件貸付けの維持管理業務の程度が実質的には相当低いなどとして、不動産所得を生ずべき事...


... ▼ 裁決事例集 No.68 - 59頁  請求人は、本件貸付けによる収入が年間700万円以上であること、また、9年間事業規模相当として申告してきたことなどを理由に本件貸付けは不動産所得を生ずべき事業...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

請求人が同族会社に賃貸した土地の賃料の額を容認した場合には、請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果になるとした事例


... ▼ 平成23年7月8日裁決 《ポイント》  この事例は、請求人が同族会社に賃貸した土地で、その同族会社が第三者に駐車場用地として転貸したもの、第三者に賃貸するための倉庫・事務所用建物の敷地として使用...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30000.html

建物貸付けは、同族会社2社及び親族に対する限定的かつ専属的なものであり、貸付けに係る維持管理等の程度が実質的には相当低いとして、不動産所得を生ずべき事業に当たら...


... ▼ 裁決事例集 No.74 - 37頁  請求人は、資産の取得に係る投資額(借入金)の多寡を重要視すべきであること、事業とは、社会通念に照らして事業と認められるものすべてを含み、事業所及び人的・物的...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...70000.html

中古車展示場用地としての本件土地の賃貸借契約は、その土地使用の主たる目的がその地上に建物を建造し、所有することには当たらないとして、本件土地は、貸宅地として借地...


... ▼ 裁決事例集 No.69 - 264頁  請求人らは、本件土地の中古車展示場等の敷地としての賃貸借契約について、貸付けの際に建物の建築を承諾していたこと及び本件建物は堅固建物であり建物表示登記がさ...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...10000.html

不動産の差押処分が差押財産の選択を誤ったものとはいえず、超過差押えにも当たらないとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.74 - 478頁  請求人は、滞納国税を徴収できるC社からの家賃債権の差押え及びD社に対する貸付金を有している事実の確認を原処分庁が怠っていることから、本件各不動産の差押えは...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20200.html

請求人の平成17年分の所得税の確定申告につき期限後申告となったのは、請求人が平成18年3月9日から同月19日まで入院中であったためであり、「正当な理由」があると...


... ▼ 裁決事例集 No.73 - 56頁  国税通則法第66条第1項に規定する無申告加算税は、納税申告制度の秩序を維持するためには、納税者により期限内に適正な申告が自主的になされることが不可欠であるこ...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...10000.html

区分所有者たる請求人の建物管理組合に対する管理費の支払は、当該管理組合の構成員たる地位に基づいて負担するものであるから、資産の譲渡等の対価には該当しないとした事...


... ▼ 平成24年11月29日裁決 《ポイント》  本事例は、区分所有者として請求人が支払ったと認められる管理費の額の算定については、当該管理費の額が建物の区画(部屋番号)に応じて計算されている...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

貸付金債権の評価につき、その会社の資産状況及び営業状況等が破たんしていることが明白かつ債権の回収の見込みのないことが客観的に確実であるといい得る状況にあったとは...


... ▼ 裁決事例集 No.77 - 444頁  本件貸付金については、財産評価基本通達の定めに基づいて評価するのが、相当であるところ、本件会社について、同通達205の(1)から(3)までに該当する事由は...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

貸付金債権につきその回収が不可能又は著しく困難と見込まれる事実は認められないのでその元本価額で評価すべきとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.74 - 414頁  請求人らは、相続財産である貸付金債権について、債務者である同族会社は、年商の約8倍もの銀行借入金を有していること、返済期限の迫っている銀行借入金を返済する...

詳細を表示する