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▼ 裁決事例集 No.66 - 19頁
 A会の理事であった請求人は、請求人を被告とする刑事事件の判決が、請求人がA会の施設建設工事費を水増し請求し、県等から補助金を不正に受給した疑いについての審理を訴因とするものであり、原処分庁が当該補助金の一部を請求人が受領したことについて、賞与と認定したことと繋がるものであるから、当然に国税通則法第23条第2項第1号に規定する判決に該当するので、更正の請求を認めるべきである旨主張する。
 また、請求人が補助金を不正に受給したことは、刑事事件の判決により公序良俗に反するもので無効であるとされ、それにより、請求人は、私的に受領した補助金の返還をA会から請求されているのであるから、正に請求人に行った本件不正受給等の経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたものであり、このことは、取り消すことのできる行為が取り消されたものでもあるから、所得税法施行令第274条第1号及び第2号に規定する事由が生じ、所得税法第152条に規定する更正の請求の特例に該当するので、更正の請求を認めるべきであると主張する。
 しかしながら、国税通則法第23条第2項第1号にいう判決とは、申告等に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実についての私法行為又は行政行為上の紛争を解決することを目的とする民事事件の判決を意味し、犯罪事実の存否範囲を確定するに過ぎない刑事事件の判決はこれに含まれないと解するのが相当であるところ、本件判決は請求人を被告人とする刑事事件の判決であるから、同号に規定する判決には該当しないことは明らかである。
 また、本件判決は、請求人の不正受給についての犯罪事実の存否範囲を判断したに過ぎず、認定賞与として課税した処分の計算の基礎となった事実である請求人の本件金員の受領について、民事上無効な行為であるか又は取り消すことができる行為であるかを判断したものではない。また、請求人は、A会から本件金員の返還を請求されているが、当審判所の調査の結果によっても、請求人が本件金員を返還した事実は認められないことから、請求人の本件金員の受領による経済的成果は未だ失われていないというべきである。しかも、同様に、請求人の本件金員の受領が取り消された事実も認められない。
 したがって、所得税法施行令第274条第1号及び第2号に規定する事由が生じたとは認められないので、この点に関する請求人の主張には理由がない。
平成15年7月18日裁決




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