TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る


▼ 裁決事例集 No.75 - 342頁
 請求人は、本件建屋は改装して製造工場として利用する目的で取得したもので、初めから取壊しをする予定はなかったから、本件建屋の取得価額は、本件土地の取得価額には含まれない旨主張する。
 
しかしながら、原処分関係資料及び当審判所の調査において、その意思決定を示す具体的資料はなく、競売に係る評価書によれば本件建屋は従前工場として有害物質が使用されていた旨記載されており、そして、請求人の監査役が本件土地及び本件建物等を取得する直前に土壌汚染の調査方法等についてP県保健福祉環境事務所に相談していることからすれば、請求人は、競売に参加する時点において、本件建屋が従前工場であり有害物質が使用されていたことを承知しており、本件建屋が食品物の製造に適さない可能性があることを想定した上で、本件土地及び本件建物等を取得したものと認められる。
 
また、本件土地及び本件建物等の競売価格はその固定資産税評価額の約5分の1の金額であることからみて、本件建屋を取り壊しても、その跡地を利用する価値があったからこそ競売への参加を決定したものと認められる。
 
そして、請求人は、稟議書の記載内容から、平成16年12月の時点では本件建屋を解体して、新工場を建設することを決めていたものと認められ、平成16年10月から平成17年8月にかけて、本件排水施設及び本件建屋を順次取り壊し、その後、その跡地を利用して平成18年1月に本件社屋を増築するとともに、同年2月に別棟を新築取得していることから、取得後1年以内に本件建屋の取壊しに着手したと認められ、また、取得後に事情変更等があったとは認められない。
 
これらを総合すれば、請求人は、当初から本件建屋を利用する計画はなく、それを取り壊して、その跡地を利用する目的であったと認められ、法人税基本通達7-3-6の「その取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手する等、当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかである」と同視しうる状況にあったものと認められる。
 
そうすると、本件では、本件建屋の取得価額を本件社屋の取得価額に含めて減価償却を行っているが、上記のとおり、本件建屋は取得後事業の用に供されることなく取り壊されているので、本件建屋の取得価額に係る減価償却費は損金の額に算入することは相当ではなく、また、本件建屋の取得価額は、本件社屋の取得価額とは別に、本件排水施設解体費等とともに本件土地の取得価額に算入するのが合理的であるというべきである。
 
また、本件タンク設備等についても、食品製造工場として利用できるものではなく、平成17年6月までに取り壊されており、本件タンク設備等撤去工事費は、本件タンク設備等を取り壊して、本件土地を使用するために要した費用であると認められることから、本件土地の取得価額に算入すべきである。
 
以上のことから、本件建屋の帳簿価額及び本件解体工事費等は、本件各事業年度の損金の額に算入することはできず、本件土地の取得価額に算入すべきである。
平成20年3月24日裁決




類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...40000.html

請求人は、競売により取得した本件建物を当初から利用する計画もなく、取り壊して跡地を利用する目的であったと認められることから、本件建物の取得価額及び解体費等は本件...


... ▼ 裁決事例集 No.75 - 342頁  請求人は、本件建屋は改装して製造工場として利用する目的で取得したもので、初めから取壊しをする予定はなかったから、本件建屋の取得価額は、本件土地の取得価額に...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...50000.html

現物出資により取得した出資の価額を純資産価額方式で算定する場合、法人税等の税額に相当する金額を控除すべきでないとした事例


... 裁決事例集 No.44 - 84頁  譲渡所得の基因となる資産の現物出資により取得した株式等の評価は、現物出資が会社の事業活動の継続を前提としている以上、相続という包括的、かつ、無償な財産の承継を課...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...50000.html

本件有限会社に対する上場会社株式の現物出資に係る譲渡所得の収入金額は、その出資により取得した出資持分の価額であり、この価額は、本件有限会社の状況等に照らし、純資...


... ▼ 裁決事例集 No.47 - 105頁  本件有限会社に対する上場会社株式の現物出資に係る譲渡所得の収入金額について、請求人は、本件現物出資により取得した出資持分の価額については、[1]収益力を基...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

税法の改正により減価償却資産の耐用年数が短縮された場合の減価償却費の処理方法については、明文の規定がなく理論により決するほかないとの請求人の主張が排斥した事例


... ▼ 裁決事例集 No.62 - 49頁  請求人は、税法の改正により減価償却資産の耐用年数が短縮された場合の減価償却費の処理方法については、明文の規定がなく理論により決するほかない旨主張する。  し...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

事業の用に供していた資産の譲渡損について一部認容した事例


... 裁決事例集 No.1 - 18頁  原処分は、故障を原因として低額で譲渡した機械装置を、直ちにスクラップ化した資産の譲渡とみて、帳簿価額と譲渡価額の差額を「資産損失」としている。しかし、譲渡した機械...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...70000.html

売買価額が国庫補助金相当額を圧縮記帳した簿価相当額であっても低額譲受けに当たらないとした事例


... 裁決事例集 No.12 - 21頁  中古建物の売買取引においては、公正な市場価額の認定が困難であるところから、減価償却後の簿価による方法も慣行として一般的に肯定されているが、中古建物の譲受けが国庫...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...10000.html

受取配当等の額から控除する負債の利子の額の計算においては、無配の関係法人株式等の帳簿価額も法人税法施行令第22条第2項第2号に規定する関係法人株式等の帳簿価額に...


... ▼ 裁決事例集 No.75 - 297頁  請求人は、受取配当等の益金不算入額を算出する際に受取配当等の額から控除する負債の利子の額について、請求人が実際に受領した配当等に係る関係法人株式等の帳簿価...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30000.html

請求人が作成した輸出承認申請書に記載された金額のみをもって、譲渡価額と認定することはできないとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.60 - 375頁  請求人が作成した輸出承認申請書の記載内容のみをもって、原処分庁は、請求人がフィリピンの現地法人あてに輸出した中古の機械装置は、輸出承認申請書の記載価額14...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30200.html

請求人が損金の額に算入した上場有価証券の評価損について、当該有価証券の価額が著しく低下した事実はないとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.51 - 324頁  法人税法施行令第68条(資産の評価損の計上ができる場合)第2項第2号イに定める「有価証券の価額が著しく低下したこと」の具体的判断基準として、法人税基本通...

詳細を表示する