TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る


▼ 平成25年6月4日裁決
《要旨》
 原処分庁は、請求人と相続人との間に死因贈与(本件死因贈与)契約の効力に係る争いがあっても、相続税法上、租税債権の成立を妨げるものではなく、また、死因贈与の効力発生時期は贈与者の死亡時であり、死因贈与には民法第554条《死因贈与》により遺贈の規定が準用されることなどからすると、請求人が被相続人の死亡を知った日が、相続税法第27条《相続税の申告書》第1項に規定する「相続の開始があったことを知った日」であるので、請求人が提出した申告書(本件申告書)は期限後申告書である旨主張する。
 しかしながら、本件死因贈与は、書面によらないものとみるのが相当であり、書面によらない贈与は、その履行が終わるまでは各当事者が自由に撤回することができる(民法第550条《書面によらない贈与の撤回》)ところ、実際、相続人は、請求人から相続人に対して被相続人の有していた預貯金の支払を求める訴訟(本件訴訟)において、本件死因贈与契約を撤回する旨主張していた。そうすると、本件訴訟に係る和解(本件和解(訴訟上の和解))の成立前の時点においては、被相続人の全財産を本件死因贈与により取得したとする請求人の権利は、極めてぜい弱なものであるといえることから、本件和解の成立前において請求人が自己のために相続の開始があったことを知ったものとは認められない。そして、本件和解により、請求人は預金の一部についてのみ本件死因贈与により取得することとなったものであるところ、このことは、相続人が、被相続人がその全財産を請求人に死因贈与する旨の本件死因贈与契約について、その一部を撤回したものとみるのが相当であり、本件和解により、当該一部撤回後の本件死因贈与の履行が確定したと認めるのが相当である。したがって、請求人が自己のために相続の開始があったことを知ったのは、その履行が確定した本件和解の日というべきであるから、本件和解の日の翌日から10日以内に提出された本件申告書は、期限内申告書である。
《参照条文等》
 相続税法第27条
 民法第550条、第554条
《参考判決・裁決》
 大津地裁平成18年2月27日判決(税資256号順号10333)
 東京地裁昭和55年5月20日判決(裁Web)
 最高裁平成18年7月14日第二小法廷判決(裁Web)





類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30000.html

連帯納付義務者Lから不動産の贈与を受けた者に対して行われた国税徴収法第39条の規定に基づく第二次納税義務の告知処分が適法であるとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.65 - 1068頁  相続税法第34条の連帯納付義務については補充性がないことから、連帯納付義務は、第二次納税義務のように本来の納税義務者に対する滞納処分を執行しても徴収す...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

相続税法第34条の連帯納付義務者から金銭の贈与を受けた者に対する国税徴収法第39条の第二次納税義務の告知処分が適法であるとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.65 - 1024頁  国税徴収法第39条と詐害行為取消しとの関係  国税徴収法第39条の第二次納税義務は、滞納者の悪意を要件としていないものと解されていることに加えて、無償...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

相続税の連帯納付義務についての督促処分前に行われた当該相続税を担保するための抵当権の抹消に当たり、その判断に誤りがあるとしても、当該督促処分が権利の濫用に当たる...


... ▼ 裁決事例集 No.75 - 633頁  請求人は、本件相続税の延納担保であった本件担保不動産の売却代金から本件相続税を徴収することができたはずであるにもかかわらず、差替担保の設定や本件相続税の徴...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

被相続人の全財産を書面によらない死因贈与により取得したとする請求人の権利は、和解成立前においては、法定相続人から撤回される可能性が極めて高く、極めてぜい弱なもの...


... ▼ 平成25年6月4日裁決 《要旨》  原処分庁は、請求人と相続人との間に死因贈与(本件死因贈与)契約の効力に係る争いがあっても、相続税法上、租税債権の成立を妨げるものではなく、また、死因贈与の効力...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...10000.html

遺留分減殺請求により、価額弁償金を受領した場合の相続税の課税価格に算入すべき価額は、相続税法基本通達11の2−10(2)に定める要件を充足した場合には、同(2)...


... ▼ 平成25年8月29日裁決 《要旨》  原処分庁は、請求人が提起した遺留分減殺請求訴訟(本件訴訟)の判決(本件確定判決)において、価額弁償の対象となった不動産(本件分割対象不動産)は特定さ...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

過少申告加算税賦課決定の取消訴訟における課税庁の応訴は当該加算税の徴収権の消滅時効の中断事由となるとした事例


... 裁決事例集 No.26 - 13頁  国税通則法第72条第3項において準用されている民法上の時効の中断事由となる裁判上の請求には、債務者が提起した債務不存在確認訴訟において債権者が自己の債権を主張し...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

共同相続人や遺産の範囲は確定しており、客観的に遺産分割ができ得る状態であったから、請求人が行った相続税の申告期限から3年以内に遺産が分割されなかったことについて...


... ▼ 平成26年6月2日裁決 《要旨》  請求人らは、本件相続に係る財産が本件相続に係る申告期限の翌日から3年を経過する日(本件申告期限3年経過日)までに分割されなかったことにつき、租税...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

請求人の多忙及び共同相続人の通院加療等を理由に、請求人が行った相続税の申告期限から3年以内に遺産が分割されなかったことについてのやむを得ない事由の承認申請を却下...


... ▼ 裁決事例集 No.73 - 483頁  請求人は、本件特例の適用を受けようとする遺産が未分割であることについて、相続人が関係していた法人と原処分庁との間の訴訟が係属中であること、請求人は、自ら当...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

株式に根質権を設定した後、質権者がその株券を質権設定者に返還し、改めて預金債権に質権を設定した場合に、その預金の差押えに係る配当において、株券の質権設定日と法定...


... ▼ 裁決事例集 No.59 - 427頁  債権に質権が設定されたのは、滞納国税の法定納期限等の後となり、この質権については国税徴収法第15条1項は適用されず、本件取立金は、同法8条の規定により、質...

詳細を表示する