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▼ 裁決事例集 No.71 - 394頁
 請求人は、租税特別措置法(以下「措置法」という。)第33条の規定は、[1]公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の趣旨からの帰結、[2]取得時期引継ぎの有無や通達選択等の差による課税の不公平、[3]措置法第33条の2以下の規定の適用場面との権衡を根拠として、譲渡損失の場合にも適用できる旨主張し、また、所得税法第33条第3項の「譲渡所得の金額」は、譲渡益の金額及び譲渡損失の金額の両方を含むものとして定義されている旨主張する。
 しかしながら、措置法第33条の趣旨は、土地収用等その他の法令の規定に基づき所有資産を強制的に譲渡させられることとなる者について、その収用等によって譲渡した資産のうち再投資によって取得した代替資産の取得価格に相当する部分について、譲渡がなかったものとみなして課税を延期する措置を講じることにより、課税による現実の収入の減少によってその個人が従前と同様の生活を維持すること又は生活保持のための再投資(代替資産の取得)をすることを阻害する結果となることを防止するとともに、公共事業の円滑な推進を図る点にあることから、このような趣旨にかんがみれば、措置法第33条は、課税により現実の収入の減少が生じる場合、すなわち、譲渡益が発生する場合に適用される規定であると解するのが相当である。
 また、所得税法第33条は、同法第22条第2項の規定を受け、譲渡所得の課税標準を定めることを目的として、課税標準を算出するための計算方法を規定したにすぎないと解されるから、所得税法第33条に規定する「譲渡所得の金額」は、まさに課税標準を意味するものであり、譲渡所得の計算の結果が譲渡益となった場合のみを指すものと解するのが相当である。したがって、計算過程において譲渡損失がでることがあり得ることをもって、所得税法第33条の「譲渡所得の金額」は譲渡損失が生じる場合をも含むと解することはできない。
平成18年1月10日裁決




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