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請求人の従業員が、架空の請求書を作成して請求人に交付した一連の行為は、請求人による行為と同視できないとした事例(平成27年4月1日から平成28年3月31日まで及び平成28年4月1日から平成29年3月31日までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分、平成27年4月1日から平成28年3月31日まで及び平成28年4月1日から平成29年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の各賦課決定処分・全部取消し、一部取消し・令和元年10月4日裁決)


▼ 令和元年10月4日裁決

《ポイント》
 本事例は、従業員による行為は仮装行為に該当し、請求人による当該従業員への管理・監督が十分ではなかったものと認定したものの、当該従業員の地位・権限や行為態様等からは請求人の行為と同視できないと認定したものである。


《要旨》
 原処分庁は、請求人の従業員(本件従業員)が行った金員の詐取を目的とした仮装行為(本件仮装行為)について、法人の従業員の業務に関連する行為は、当該法人の活動領域内の行為として自己の行為の一部分とみることができるから、従業員の行為が納税者である法人の行為と同視できないといえるような特段の事情がない限り、請求人に国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実がある旨主張する。 しかしながら、本件従業員は、請求人の経営に参画することや、経理業務に関与することのない一使用人であったと認められ、本件仮装行為は、請求人の業務の一環として行われたものではなく、本件従業員が私的費用に充てるための金員を請求人から詐取するために独断で行ったものであると認められる。一方、請求人においては、一定の管理体制が整えられていたものの、本件仮装行為のような詐取行為を防止するという点では、管理・監督が十分であったとは認められない。もっとも、職制上の重要な地位に従事せず、限られた権限のみを有する一使用人が、独断で請求人の金員を詐取したという事件の事情に鑑みれば、本件従業員に対する請求人の管理・監督が十分ではなく、本件仮装行為を発覚できなかったことをもって、本件仮装行為を請求人の行為と同視することは相当ではない。したがって、以上の点を総合考慮すれば、本件従業員による本件仮装行為を納税者たる請求人の行為と同視することはできないと判断するのが相当であり、同項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があるとは認められない。


《参照条文等》
 国税通則法第68条第1項





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