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▼ 裁決事例集 No.67 - 718頁
 相続税法第64条第1項の規定は、同族会社を一方の当事者とする取引当事者が経済的動機に基づき自然・合理的に行動したならば通常採ったはずの行為形態を採らず、ことさら不自然・不合理な行為形態を採ることにより、その同族会社の株主その他所定の者の相続税又は贈与税の負担を不当に減少させると認められる場合には、税務署長は、この同族会社の行為計算を否認し、取引当事者が経済活動に基づき自然・合理的に行動していれば、通常採ったであろうと認められる行為計算に従って相続税または贈与税を課することができるというものであり、同条がこのように規定する趣旨は、私法上許された法形式を濫用することにより、租税負担を不当に回避し又は軽減することが企図されている場合には、実質的にみて租税負担の公平の原則に反することになるから、このような行為又は計算をいわゆる租税回避行為として、税法上は、これを否認して本来の実情に適合すべき法形式の行為に引きなおし、その結果に基づいて課税しようというものである。したがって、当該規定の適用に当たっては、その行為計算が単に結果において相続税又は贈与税の軽減を来たすということのみによってこれを決すべきではなく、当該行為計算が経済的、実質的にみて、経済人の行為として、不自然・不合理なものと認められるか否かにより判断すべきである。
 本件についてみると、被相続人が本件不動産を同族法人G社から譲り受け、G社の借入金債務を被相続人が承継することにより、その売買代金の支払に充当するとした本件売買契約は、請求人が自認するとおり、G社の再建と相続税対策を同時に可能にする方法として考案し、実行したものであるが、通常、不動産売買における価格の決定は、利害関係を共通しない経済人の間では、近隣の売買価額や公示価額を参考として形成されるのが通例であるところ、本件売買契約の当事者間では、本件不動産の時価と本件借入金債務の残高が大幅に乖離していることを認識しながら本件借入金債務の残高をもって売買価額としたことが認められる。
 したがって、本件売買価額の決定は、経済人の行為として、ことさら不自然・不合理なもので、利害関係を共通にしない経済人の間では通常行なわれ得なかったものといわざるを得ず、売買代金債務のうち本件不動産の時価を超える部分については、債務控除が過大となり、請求人の相続税を不当に減少させるものと認められるから、原処分庁が相続税法第64条第1項の規定を適用して課税価格を計算したことは適法である。
平成16年3月30日裁決




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