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▼ 平成29年1月17日

《ポイント》
 本事例は、土地上に建物を有していた被相続人が当該土地の所有者に対し地代として支払っていた金員が、当該土地の固定資産税等年税額を超えていたものの、その他の事実関係からすると、かかる事情のみでは、当該金員が本件土地の使用収益に対する対価であるとは認めるに足りないというべきであるとして、被相続人が当該土地上に借地権を有していたとは認めることはできないと判断したものである。


《要旨》
 原処分庁は、本件土地上に建物を有していた被相続人が、本件土地の所有者である請求人に対し地代として金員(本件金員)を支払っていたこと、請求人は本件金員を不動産所得に係る地代収入として所得税の確定申告をしたこと、本件土地に係る各年度の固定資産税相当額及び都市計画税相当額の合計額(固定資産税等年税額)は変動するにもかかわらず本件金員の額が一定であり、請求人と被相続人との間において本件土地に係る通常の必要費を負担することを約していたとは認められないこと、本件金員の年額は、本件土地に係る相続開始年度の固定資産税等年税額に本件建物に係る被相続人の持分を乗じた金額を優に上回るから、使用貸借通達からも使用貸借とみる余地はないことなどを理由に、被相続人は本件土地上に借地権を有していた旨主張する。
 しかしながら、被相続人による本件土地の使用収益は、本件金員の支払が開始する以前(本件土地を請求人が被相続人の父から相続により取得したとき以前)においては使用貸借契約に基づくものであったと認められること、本件金員の支払開始に当たり、請求人と被相続人との間で契約書が作成されたなどの事情は見当たらないこと、本件金員の支払開始の経緯や本件金員の算定根拠も明らかではないこと、さらに、被相続人と請求人は親子であり、本件金員の支払が開始された当時、請求人が未成年者であったことを併せ考慮すると、本件金員が本件土地の使用収益に対する対価であると認めるに足りないというべきであるから、被相続人による本件土地の使用収益は使用貸借契約に基づくものであったと認めるのが相当であり、被相続人が本件土地上に借地権を有していたとは認めることはできない。


《参照条文等》
 民法第593条、第601条

《参考判決・裁決》
 最高裁昭和35年4月12日第三小法廷判決(民集14巻5号817頁)
 最高裁昭和41年10月27日第一小法廷判決(民集20巻8号1649頁)
 平成8年3月29日裁決(裁決事例集No.51)




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