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▼ 裁決事例集 No.48 - 100頁
 請求人は、Aとの間で、本件土地につき本件売買契約を締結し、手付金を受領した上、所有権移転登記に必要な登記委任状及び印鑑証書等をAに交付し、同日残代金として白地小切手を受領したが、Aは残代金を支払う意思も能力もなかったにもかかわらず、これを秘し請求人を誤信させたことが認められる。
 Aは、本件土地につき、登記を自己に移転した上、第三者に譲渡し、登記も移転した。請求人は、Aに対し、本件売買契約を取り消す旨の意思表示をし、次いで、損害賠償請求訴訟を提訴した結果、売買残代金相当額の支払(「本件損害賠償請求権」)の判決を得た。
 以上により判断すると、本件売買契約の取消しにより、本件土地の売買はなかったことになるが、本件損害賠償請求権の取得は実質的には本件土地の譲渡の対価と評価されるから、譲渡所得がなかったことにはならず、また、本件損害賠償請求権は、所得税法第9条第1項の非課税所得にも該当しない。
 しかし、Aは、詐欺罪で服役中であり、資産もない等の事実が認められる。資産の譲渡代金が回収不能であるというためには、法律上債権が消滅した場合がそれに当たることは当然であるが、所得税法が実質的な担税力に着目して課税要件を定めていることに照らせば債務者の資産状況、支払能力等からみて債権の回収が事実上不可能である場合もこれに該当するというべきである。
 請求人が、不法行為に基づく損害賠償として取得した売買残代金相当額の本件損害賠償請求権については、請求人が本件損害賠償請求権を放棄していないことから、同請求権は法律上消滅したということはできないが、Aには同請求権を弁済する能力はなく、同請求権の回収は事実上不可能と認めるのが相当である。
 したがって、本件の所得計算においては、所得税法第64条第1項の規定を適用し、当該金額はなかったものとみなし、原処分の一部を取り消すのが相当である。
平成6年11月25日裁決




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