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▼ 裁決事例集 No.62 - 293頁

 請求人は、法人税法第11条《実質所得者課税の原則》によりパナマ子会社の損失を請求人の所得金額に合算したものであり、また、「船舶所有権等に関する契約公正証書」によれば当該外航船舶の所有権は請求人にあると認められることからも、本件には租税特別措置法(以下「措置法」という。)第66の6条《内国法人に係る特定外国子会社等の留保金額の益金算入》は適用されないと主張する。
 しかしながら、船舶は子会社の所有であること、また、法人税法第11条と措置法第66の6とはそれぞれ独立した規定として存在することが意図されているといえ、両者の適用関係が競合する場合には、まず、法人税法の特別法である措置法の規定が適用されることから、請求人の主張には理由がない。
 請求人は、仮に、措置法第66の6の規定が適用されるとしても、パナマ子会社は株式を発行しておらず、同法第2項第1号の規定によって「発行済株式等」の保有割合を基準に判定される外国関係会社ひいては特定外国子会社等にも当たらないので、この点からも請求人にはタックスヘイブン対策税制の適用はないと主張する。
 しかしながら、パナマ会社法は、発起人による「株式を取得することの合意」によって法人が設立でき、株式の発行自体が設立要件となっていないことからすると、パナマ法人が請求人の特定外国子会社等であるというためには、請求人が当該取得に合意した株式を所有していることが要件であるところ、[1]パナマ法人の設立時の役員が請求人の役員であること、[2]請求人が同社設立時の商業登記簿謄本の写しを保管していること、[3]請求人は、同社の発起人からなんらの権利を主張されることなく、支障なく業務運営を遂行していること及び[4]パナマ会社法においては株主が会社運営に直接関与する場合があることからすれば、発起人と請求人との間では、発行予定株式等の全部の譲渡に関する契約ないしこれに類する契約が黙示的にせよ締結されたものと推認されるから、このことによって請求人はパナマ法人を支配し得る単位化された物的持分としての法的地位を承継したものと認めるのが相当であることから、請求人の主張には理由がない。
 請求人は、原処分は従来の法令の解釈を変更して突如としてなされ、一貫性を欠く恣意的な処分であるとし、また、請求人に対して「タックスヘイブン対策税制により申告すべし」との原処分庁の指導がなかったことから、信義誠実の原則に反すると主張する。
 しかしながら、請求人がパナマ子会社の損失を所得金額に合算して申告したのは、請求人自身の独自の法令解釈により判断した結果であり、また、原処分庁は、請求人に対して「パナマ子会社についてタックスヘイブン対策税制が適用されない」という公式見解を示したことはないことから、信義誠実の原則が適用される余地はなく、請求人の主張には理由がない。

平成13年12月21日裁決




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