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▼ 裁決事例集 No.67 - 154頁

 不動産所得とは、所得税法第26条第1項において、不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機の貸付けによる所得をいう旨規定され、その「貸付け」には、同項かっこ書において、地上権又は永小作権その他他人に不動産等を使用させることを含む旨規定されている。すなわち、所得税法第26条第1項の「貸付け」には、他人に不動産等を使用させる一切の場合を含むものとされている。
 これを本件についてみると、本件契約は、請求人が自己の農地を県に使用させるという内容のものであるから、本件契約に基づいて本件農地を使用させることも、所得税法第26条第1項の「貸付け」に当たる。
 そして、本件損失補償金は、県が本件農地を使用することによって生じる損失を「正当な地代又は借賃」をもって補償したものであることが認められる。
 そうすると、本件損失補償金は、請求人が本件農地を県に使用させたことによって得た所得であるといえるから、所得税法第26条第1項の「貸付けによる所得」に該当し、不動産所得に当たるとするのが相当である。
 請求人は、本件契約は営利を目的とした継続的な土地使用契約でないので、本件損失補償金は不動産所得に該当しない旨主張する。
 しかしながら、所得税法第26条第1項の「貸付け」には、他人に不動産等を使用させる一切の場合を含むとされており、営利を目的とした継続的な土地使用契約に限っておらず、請求人の主張には理由がない。
 請求人は、本件損失補償金は、土地使用について生じる損失の補償であるとともに、「休耕による減収補償」、「土地の返還後の地味回復に関わる経費」及び「収益回復までの収益減収に関わる補填費」などであって、地代のような単なる土地使用の対価でないことは明らかであり、休耕による減収補償等は、農家の事業収益若しくはそれに代わる収入と認めるべきものであって、地代収入などとは明らかに性質が異なるものであるから、不動産所得に当たらない旨主張する。
 しかしながら、本件損失補償金を算定するに当たり、請求人が主張するような要素が考慮されていることが認められるが、農地を使用させたことの対価を算定する際には、一般に、かかる要素が考慮されるべきものであり、そのことをもって、本件損失補償金が県に土地を使用させたことによる所得であることを否定するものではないから、請求人の主張には理由がない。
 請求人は、本件農地の提供は、災害による河川の復旧工事に協力したものであって、もし請求人らが協力しなければ事業に重大な支障となり、土地収用法の適用もあり得たものであるから、本件農地の提供が公共工事のための半強制的な土地提供であることからすると、本件損失補償金は税負担の少ない一時所得とすべき旨主張する。
 しかしながら、本件農地の提供が公共工事のために半強制的な土地提供であったとしても、そのような土地提供に係る損失補償金を一時所得とする旨定めた法令の規定はないから、請求人の主張には理由がない。

平成16年2月27日裁決




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