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▼ 裁決事例集 No.71 - 246頁
 請求人は、不動産売買契約及び施設相互利用契約から生じる権利を買取制度に基づき譲渡したことについて、本件不動産の共有持分権と本件施設利用権と預託金返還請求権の三つの権利が渾然一体となった施設利用権を譲渡したものであることから、そのすべてが資産の譲渡に該当する旨主張する。
 所得税法第33条第1項にいう資産は、原則として、それぞれの権利ごとに一つの資産としてみるが、法律上あるいは事実上不可分一体あるいは分離不可能な権利である場合には、複数の権利等を例外的に一つの資産と判断することになると解される。そして、不動産売買契約及び施設相互利用契約から生じる権利は、上記三つの権利から構成されているものと認められ、不動産共有持分権は、独立した権利として法律上認められた権利であること、一般的には、売買契約に基づき取得する不動産の共有持分権は、独立した権利として市場流通性を有し取引の対象となり、本件施設利用権を有しているか否かにかかわらず、固定資産税などの負担が生じることが認められる。これらを踏まえれば、上記三つの権利は、法律上も事実上も不可分一体あるいは分離不可能なものとはいえないから、これらの権利が譲渡される場合において、これらを一つの資産として譲渡所得の対象となる資産と取り扱うことは相当ではない。
 そして、請求人が解約合意により、本件不動産共有持分権を会社に譲渡し、譲渡代金を受け取ったことは、所得税法第33条第1項に規定する資産の譲渡に該当するが、請求人は、自己の意思により、本件施設利用契約を解約して本件施設利用権を消滅させ、これに伴い本件保証金返還請求権に基づき保証金の返還を受けたと認められ、このことは、本件保証金返還請求権を譲渡したものでも、本件施設利用権の消滅の対価として本件保証金を受け取ったものでもなく、単に金銭債権を行使したことによるものであると認めるのが相当である。したがって、本件解約合意に基づく本件施設利用権の消滅及び本件保証金返還請求権に基づく保証金の返還は、所得税法第33条第1項に規定する資産の譲渡には該当しない。
平成18年6月16日裁決




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