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▼平成24年3月8日裁決
《ポイント》
 この事例は、私法上、遺産分割協議の合意解除は認められているが、その目的が相続税の連帯納付義務を免れるためのものである場合には、後発的な更正の請求を認めた趣旨に照らして国税通則法施行令第6条第1項2号に規定する「やむを得ない事情」に当たるとは到底解することはできないと判断したものである。
《要旨》
 請求人らは、被相続人に係る遺産について、代償分割の方法による当初の遺産分割協議(本件当初分割)を行い、代償財産を取得することとなったものの、代償債務を負う者がその債務の履行をせず、更に請求人らに当該代償債務を負う者に係る相続税の連帯納付義務が課されたことから、債務不履行解除の意思表示をして本件当初分割を解除(本件解除)した上で、再度の遺産分割協議を行った結果、請求人らは何らの財産も取得しないこととなったことからすると、本件解除は、国税通則法施行令第6条《更正の請求》第1項第2項に規定する「解除権の行使によって解除され」た場合又は「契約の成立後生じたやむを得ない事情によって解除され」た場合に該当するから、本件各更正の請求は、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第3号に規定する事由に基づくものである旨主張する。
 しかしながら、遺産分割協議は、債務不履行解除をすることができないから、本件解除は「解除権の行使によって解除され」た場合には該当しない。また、本件においては、本件当初分割を解除する合意と同時に再度の遺産分割協議を行ったということができるところ、本件解除は、請求人らにおいて、上記代償債務を負う者に係る相続税の連帯納付義務を免れることを目的としたものといわざるを得ず、このような合意をもって、国税通則法第23条第2項に規定する後発的な更正の請求が認められるならば、相続税の連帯納付制度そのものを否定するに等しいというべきであり、同項及び国税通則法施行令第6条が連帯納付義務を免れる目的でされた合意に基づく更正の請求を「やむを得ない事情によって解除」された場合として認めているとは到底解することはできないから、「契約の成立後生じたやむを得ない事情によって解除され」たものと認めることはできない。したがって、本件各更正の請求は、国税通則法第23条第2項第3号に規定する要件を満たさないものである

《参照条文等》
 民法第541条
 国税通則法第23条第2項第3号
 国税通則法施行令第6条第1項第2号
 相続税法第34条第1項
《参考判決・裁決》
 最高裁平成元年2月9日第一小法廷判決(民集43巻2号1頁)
 最高裁平成2年9月27日第一小法廷判決(民集44巻6号995頁)
 東京地裁平成11年2月25日判決(税資240号902頁)




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