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▼ 裁決事例集 No.77 - 303頁
 請求人は、請求人の役員であるAらの債権放棄(以下「本件債権放棄」という。)による債務免除は法人税法施行令第117条第4号に規定する「前3号に掲げる事実に準ずる事実」に当たり、法人税法第59条第2項の規定に該当するから、原処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、法人税法施行令第117条第1号から第3号までに規定する各事実は、いずれも法律によりその手続が定められているもので、その債務者の全資産を対象にすべての債権者に対して公正な弁済が行われるよう裁判所が関与して行われるものであるから、同条第4号に規定する「前3号に掲げる事実に準ずる事実」とは、債務超過に陥った債務者について、上記の手続に準じ、すべての債権者に対して公正な弁済が行われることが保障されているものに限られると解すべきであるところ、請求人は、臨時株主総会において、本件債権放棄の要請を行うことを決議しただけで、Aらからの借入金以外の借入金及び買掛金などの営業債務に係る債務額の整理に関する事項などについて債権者集会で協議を行うなど、法人税基本通達12−3−1に定める、法律等の定めに準じた一連の手続等は行われていないと認められること、本件債権放棄による債務免除を受けた直前の平成16年9月期の事業年度末において、貸借対照表上、債務超過の状態にはあるものの、事業経営が成り立たなくなるほどの経営の危機に陥っている状態ではなかったと認められること、さらに、本件債権放棄による効果は、請求人の資金繰りにはほとんど影響がないことからすると、請求人も自認しているように、請求人があえてAらに対して債権放棄の要請という手段を早急にとらなければ、請求人は、債務超過の状態によって倒産するという状況にあったとは認められないこと、及び請求人は、競売物件の取得等に係る資金として融資を受けるには、E銀行P支店からの求めに応じて債務超過の状態を解消する必要があったことから、請求人の財務内容を表面的に改善するためにAらに本件債権放棄の要請を行ったものと認めるのが相当である。
 そうすると、本件債権放棄による債務免除は、多数の債権者によって協議の上決められたものでなく、単に請求人とAらとの間における私的な協議によって決定され、その内容が一定の計画のもとに合理的に定められたものではないと認められることから、法人税法施行令第117条第4号に規定する事実に当たらないとした原処分は適法である。
平成21年6月24日裁決




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