TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る


▼ 平成23年6月10日裁決
《ポイント》
 被相続人が配偶者のために負担した有料老人ホームの入居金が贈与税の非課税財産(相続税法第21条の3第1項第2号)に該当するか否かについて、平成22年11月19日裁決(裁決事例集No.81)では非課税財産に該当すると判断したのに対し、本事例は、非課税財産に該当しないと判断したものである。
《要旨》
 請求人は、請求人及び本件被相続人が本件相続開始の約2か月半前に入居した老人ホーム(本件老人ホーム)の入居金(本件入居金)を本件被相続人が支払ったことについて、本件入居金の性質は終身利用権の対価であり、請求人は本件被相続人から終身利用権を死因贈与により取得したことになるところ、終身利用権は一身専属権であって贈与税の対象とはならないから、相続開始前3年以内の贈与として本件相続税の課税価格に加算されない旨主張する。
 しかしながら、本件被相続人は、自らに支払義務のない請求人に係る入居金のうちの一部に相当する金額を支払ったものであり、これによって請求人は、入居金全額の支払によって初めて取得することのできる施設利用権を、低廉な支出によって取得したものと認められることからすると、請求人は著しく低い対価で本件老人ホームの施設利用権に相当する経済的利益を享受したものということができ、本件被相続人と請求人との間に実質的に利益の移転があったことは明らかであるから、相続税法第9条により、請求人は、その利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額を本件被相続人から贈与により取得したものとみなすのが相当である。また、本件入居金は極めて高額であり、請求人に係る居室面積も広く、本件老人ホームの施設の状況等をかんがみれば、本件老人ホームの施設利用権の取得のための金員は、社会通念上、日常生活に必要な住の費用であるとは認められないから、相続税法第21条の3《贈与税の非課税財産》第1項第2号の規定する「生活費」には該当せず、贈与税の非課税財産に該当しない。したがって、贈与により取得したものとみなされた金額は、相続開始前3年以内の贈与として本件相続税の課税価格に加算されることとなる。
《参照条文等》
 相続税法第21条の3第1項第2号、第19条第1項
 相続税法基本通達21の3−3、21の3−6
《参考判決・裁決》
 平成22年11月19日裁決(裁決事例集No.81)




類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

小規模宅地等の特例の適用に当たり、各相続人が、複数の利用区分が存する一の宅地を相続により共有で取得した場合、当該特例を適用できる部分は、当該宅地の面積に、当該各...


... ▼平成27年6月25日裁決 《要旨》  請求人らは、租税特別措置法(平成23年法律第114号改正前のもの)(措置法)第69条の4《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第1項の規...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

被相続人が配偶者のために負担した有料老人ホームの入居金は、贈与税の非課税財産に該当しないから、当該入居金は相続開始前3年以内の贈与として相続税の課税価格に加算す...


... ▼ 平成23年6月10日裁決 《ポイント》  被相続人が配偶者のために負担した有料老人ホームの入居金が贈与税の非課税財産(相続税法第21条の3第1項第2号)に該当するか否かについて、平成22年11月...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...70000.html

相続土地に係る賃借関係の実態は使用貸借と解するのが相当であると認定し、また、相続財産を売却して弁済に充てることを予定している被相続人の保証債務は相続税の債務控除...


... ▼ 裁決事例集 No.63 - 523頁  請求人らは、本件土地に係る貸借関係は建物の所有を目的とする賃貸借であるから、借地権の目的となっている貸宅地として評価すべきである旨主張するが、被相続人と本...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20000.html

所有する宅地とその宅地に隣接する相当の地代を支払って借り受けている借地権は、一体で評価することが相当であるとした事例(平成22年8月相続開始に係る相続税の各更正...


... ▼ 平成26年4月22日裁決 《ポイント》  本事例は、所有する宅地に隣接する宅地を相当の地代を支払い借り受けている場合において、相当の地代を支払って借り受けている借地権の価額は零と評...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...40000.html

職務発明に係る特許を受ける権利を勤務先に承継させた者の相続人が、特許を受ける権利の対価に係る訴訟上の和解により取得した金員は、その相続人の雑所得に該当するとした...


... ▼裁決事例集 No.78 - 172頁  請求人は、E社との和解によって受領した金員は、請求人の死亡した子Dがした職務発明による特許を受ける権利のE社への承継に際し一時に受けるべき対価の修正追加支払...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...10000.html

相続人らから本件被相続人への本件各金員の支出は、本件被相続人が相続税対策のために相続人らに贈与を行っていたことなどからすると、相続人らから本件被相続人への贈与で...


... ▼ 平成25年3月4日裁決 《要旨》  原処分庁は、請求人らが主張する、本件被相続人が負っていた請求人らを含む相続人らからの借入金債務(本件各借入金債務)は、相続開始日において存在していない...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...10000.html

被相続人名義で取得した不動産及び当該不動産の取得資金に充てられた借入金につき、相続財産及び被相続人の債務とは認められないとした事例


... 裁決事例集 No.34 - 105頁  請求人は、本件不動産の取得及び銀行借入れ等は被相続人の委任により行ったものであると主張するが、委任の事実を立証する具体的証拠はなく、また、本件不動産の取得は、...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

被相続人が配偶者のために負担した介護付有料老人ホームの入居金は、相続税法第21条の3第1項第2号に規定する「扶養義務者相互間において生活費に充てるためにした贈与...


... ▼ 平成22年11月19日裁決  原処分庁は、本件被相続人の配偶者(本件配偶者)が介護付有料老人ホーム(本件老人ホーム)へ入居する際の入居金(本件入居金)を本件被相続人が支払ったことについて、本件入...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

相続により取得した土地は、宗教法人である寺院の尊厳を維持するための土地であるから非課税財産である旨の請求人の主張を排斥した事例


... ▼ 裁決事例集 No.67 - 491頁  相続税法第12条第1項第2号の適用について  民法第896条は、相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると規定するが、...

詳細を表示する