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▼ 裁決事例集 No.65 - 721頁
 原処分庁は、P町宅地について、賃貸借契約に請求人が使用借権を有する立場で参加していること及び賃料を請求人が収受している実態があることをもって、利用関係は、請求人が被相続人から使用貸借により借地したものを他の者に転貸したものである旨、またK社使用宅地については被相続人が農業者年金を受給するため被相続人と請求人との間で使用貸借契約を締結していたことを主たる理由として、請求人が被相続人から使用貸借により借地し、それを賃借人に転貸していたものと主張する。
 しかしながら、P町宅地の利用関係は、昭和56年2月20日に「農地法第3条による使用貸借解約による通知書」を提出した日までの間は、請求人を相手方として使用借権が設定されていたものと推認されるが、同日以後は、被相続人が農地法の手続を経た上で、これらの土地を宅地に転用し、被相続人が賃貸人となって、順次、賃借人に対して賃貸し、賃借人が建物を建築して利用していることが認められる。そして、P町宅地に係る本件土地賃貸借契約書には、賃貸人の承継人として請求人名が記載されているだけで、どのような権限を有することになるのかは明らかではないが、[1]賃貸人は被相続人と明記されていること及び[2]農地に関しての被相続人と請求人との間の使用貸借は宅地転用される前にすでに解除されていることから、当該記載をもって、原処分庁主張のとおりに解することはできないし、また、賃料を現実に享受している者が誰であるかのみによって同宅地の利用関係が決せられることにもならないので、原処分庁の主張には理由がない。
 K社使用宅地については、請求人と被相続人との間の使用貸借契約が解除された経緯は、P町宅地と同様であると認められ、また、借地人である同族会社から無償返還届出書は提出されておらず、また、過去に借地権の認定課税が行われていないとしても、そのことが利用関係に影響して借地権の目的となっているか否かを左右するものでないことは明らかであるから、本件相続開始時において、同宅地は借地権設定の目的となっている宅地と認めるのが相当である。
 以上から、いずれの宅地についても相続開始時において建物の所有を目的とする賃借権が存するものと認めるのが相当であり、自用地としての価額から借地権の価額を控除した金額によって評価するのが相当であるので、原処分庁の主張は採用できない。
平成15年5月19日裁決




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