▼ 裁決事例集 No.71 - 606頁 請求人らは、相続により取得した取引相場のない株式の価額を純資産価額方式で算定するに当たって、評価会社が土地・建物等の収用等に伴って取得した代替資産については租税特別措置法第64条の2の規定を適用したことにより算出されるその資産の取得価額を、また、上場会社の発行した非上場の無額面株式(優先株式)についてはその上場会社の上場株式と同様に評価した価額を、それぞれ基として評価すべきであると主張する。 しかしながら、財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)185は、1株当たりの純資産価額を課税時期において評価会社が所有する各資産を評価通達に定めるところにより評価した価額を基礎に計算する旨定めるとともに、この場合、評価会社が課税時期前3年以内に取得又は新築した家屋等の価額は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する旨定めている。この家屋等についての取扱いは、純資産価額の計算において、課税時期の直前に取得又は新築し、通常の取引価額が明らかなものについてまで、わざわざ、評価通達に基づく評価替えを行うことは時価の算定上、適切でないと考えられることによるものであり、当審判所においても相当と認められるところ、本件代替資産は新たに取得又は新築されたものであること及び租税特別措置法第64条の2の規定からすれば圧縮記帳後の価額は法人税法に関する法令の規定を適用する場合のものであることが認められ、これらのことからすれば、請求人らが主張する本件各代替資産の圧縮記帳後の価額をもって、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額である客観的な交換価額を示すものであると認めることはできない。 また、評価通達には、本件優先株式に直接適用できる評価方法は定められていないところ、評価通達5によれば、評価通達に定めのない場合は、類似する資産の評価方法に準じて評価することとしている。この点に関し、原処分庁は、本件優先株式は平成14年7月4日付国税庁課税部資産課税課情報第10号ほか1「資産税関係質疑応答事例について(情報)」(以下「本件情報」という。)に掲げた内容と同様のものであるから、本件情報に基づいて本件優先株式を評価していることが認められるところ、当審判所においてもこの本件情報に基づく評価方法を不相当とする理由があるとは認められないから、この点に関する請求人の主張には理由がない。 平成18年4月11日裁決 |
類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例
取引相場のない株式の評価を純資産価額方式で行うに当たって、評価会社が土地収用に伴い取得した代替資産の価額は、圧縮記帳後の価額ではなく財産評価基本通達の定めにより...
...
▼ 裁決事例集 No.71 - 606頁
請求人らは、相続により取得した取引相場のない株式の価額を純資産価額方式で算定するに当たって、評価会社が土地・建物等の収用等に伴って取得した代替資産について...
詳細を表示する
収用等に伴う代替資産の取得の特例の適用に関し、代替資産である賃貸用ビル等の建物は、建物本体と電気、給排水、昇降機等の各設備が一体となってその効用を有する不可分一...
...
▼ 裁決事例集 No.48 - 295頁
請求人は、ダム建設事業に伴い土地、立木等を譲渡し、その対価補償金をもって賃貸用ビルを取得し、租税特別措置法第64条“収用等に伴い代替資産を取得した場合の特...
詳細を表示する
収用等された資産が譲渡損失となっている場合には収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例は適用できないとした事例
...
▼ 裁決事例集 No.71 - 394頁
請求人は、租税特別措置法(以下「措置法」という。)第33条の規定は、[1]公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の趣旨からの帰結、[2]取得時期引継ぎの有無...
詳細を表示する
譲渡の対価として代替地及び建物の交付の要求に対し、譲受人は代替地を購入して建物を建築して渡していることから、譲渡収入の金額は、代替地と建物建築価額の合計額になる...
...
▼ 裁決事例集 No.49 - 202頁
請求人は、本件譲渡土地の収入金額は、M社に譲渡した際の売買契約書に記載した263,000,000円であり、この価額は不動産鑑定評価額271,841,000...
詳細を表示する
代替資産として取得した建物及び建物附属設備のうち、建物についてのみ圧縮記帳したために生じた圧縮限度超過額は、建物附属設備に係る圧縮損の計上額として取り扱うことは...
...
裁決事例集 No.37 - 311頁
租税特別措置法第64条第1項の規定は、法人がその決算を確定する際に、同項に定める方法により経理上の処理をすることを要件として、その処理をした金額に限り、しかも...
詳細を表示する
類似業種比準方式における1株当たりの利益金額の計算上、匿名組合契約に係る分配金は非経常的な利益ではないから法人税の課税所得金額から控除すべきではないとした事例
...
▼ 裁決事例集 No.75 - 594頁
類似業種比準方式における、匿名組合員である評価会社の「1株当たりの年利益金額」については、評価通達が、「1株当たりの年利益金額」の計算を法人税の課税所得金...
詳細を表示する
預託金返還請求権をその預託先であるゴルフ場経営法人に対して行使した場合及び預託金返還請求権を喪失した会員権をゴルフ場経営法人に返却した場合は、いずれも所得税法第...
...
▼ 裁決事例集 No.67 - 412頁
請求人は、預託金会員制ゴルフ会員権であるG会員権及びJ会員権を、それぞれ各ゴルフ場経営法人に譲渡したと主張するが、[1]G会員権については、請求人はクラブ...
詳細を表示する
請求人が裁判上の和解により取得した職務発明に係る和解金は、譲渡所得ではなく、雑所得に該当するとした事例
...
▼ 平成23年9月22日裁決
《ポイント》
この事例は、職務発明をした従業員等が使用者等に特許を受ける権利等を承継させたときに保障される「相当の対価の支払を受ける権利」(特許法第35条第3項)に基...
詳細を表示する
請求人と雇用関係にない会社から付与された新株予約権の行使に係る経済的利益は、一時所得ではなく雑所得と認めた事例
...
▼ 裁決事例集 No.75 - 229頁
請求人は、請求人と雇用関係がないA社から付与された本件新株予約権の行使に係る本件権利行使益は、役務その他の労務の対価ではなく、一時的、偶発的な所得であるか...
詳細を表示する