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▼ 平成28年3月7日裁決
《ポイント》
 本事例は、任意組合の財産は、任意組合の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位(これらを併せて本件持分という。)と不可分一体のものであるから、本件持分の譲渡は、本件持分が表象する任意組合の財産に対する持分の譲渡という性格を有するものというべきであるとして、本件持分の譲渡に係る所得は、組合財産のうち現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する土地建物等の譲渡に係る所得として、分離課税の長期譲渡所得に該当すると判断したものである。
《要旨》
 請求人は、不動産の賃貸事業を目的とする民法上の組合(本件組合)の出資持分及び当該持分に係る組合員たる地位(これらを併せて本件持分という。)の譲渡による所得については、その所得の種類及び課税方法(総合課税又は分離課税)が法律上明記されていないこと、本件持分の価額は、単に不動産等の価値ではなく、「組合員としての地位」たる資産の価値であること及び本件組合は匿名組合としての性質を有していることから、総合課税の長期譲渡所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件組合は民法上の任意組合であるところ、民法第668条《組合財産の共有》の規定により、本件組合の財産は、総組合員の共有に属し、本件組合の組合契約の定めなどから、本件組合の各組合員は、本件組合の財産に対し、その出資価額の割合に応じて持分を有する。そうすると、本件組合の財産は、本件組合の出資持分及び組合員たる地位である本件持分と不可分一体のものであるから、本件持分の譲渡は、本件持分が表象する本件組合の財産に対する持分の譲渡という性格を有するものというべきである。そして、本件持分の譲渡の日における本件組合の財産は、土地建物等並びに補修等積立金に係る現金及び預金であったところ、当該土地建物等に対する請求人の持分は、租税特別措置法第31条《長期譲渡所得の課税の特例》第1項の規定から、その譲渡による所得は分離長期譲渡所得に当たり、他方、当該現金及び預金に対する請求人の持分については、精算等されていないから、本件持分の譲渡に係る契約に含まれるものの資産価値の増加益を生ずべき資産ではないので、その譲渡の対価は各種所得の金額の計算上、収入金額等に算入することはできない。したがって、本件持分の譲渡に係る所得は、組合財産のうち当該現金及び預金に対応する部分を除き、組合財産を構成する当該土地建物等の譲渡に係る所得として、同条第1項に規定する分離課税の長期譲渡所得に該当する。
《参照条文等》
 民法第668条
 租税特別措置法第31条
《参考判決・裁決》
 岐阜地裁平成20年1月24日判決(税資258号順号10870)




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