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▼ 裁決事例集 No.49 - 374頁
 原処分庁は、Lマンション3室(本件不動産)の譲渡人は、[1]A国の国籍を有していること、[2]本件不動産の譲渡対価(本件譲渡対価)の支払時前の出国に先立ち、身の回り品の一切をB国の住所地(g市T町223番地)に搬出しており、その後再入国した事実は認められないこと、[3]国内に生計を一にする配偶者その他の親族を有しないのみならず、何らの職業も有していないこと及び[4]本件不動産を譲渡したことにより、本件譲渡対価の額に係る預金を除いて国内に資産を有しなくなった各事実が認められ、また、譲渡人の二男を譲渡人の代理人とする委任状によれば、譲渡人の住所地がB国(g市T町223番地)と記載されていることから判断すると、譲渡人が本件譲渡対価の支払時において非居住者であることは明らかであるから、請求人には、本件譲渡対価の支払について源泉徴収義務がある旨主張する。
 しかし、[1]譲渡人が居住していたLマンション101号室(譲渡人の妻の娘であるHが所有している。)には、譲渡人が所有していた絵画、蔵書及び置物等の美術品が現存していることが確認されたこと、[2]譲渡人の家事使用人として20年間住み込みで働いていたC夫婦の答述から、譲渡人は、出国後も同夫婦を家事使用人として、引き続き雇用する意思があったものと推認されること、[3]H及びC夫婦の答述から、これらのいずれもが、譲渡人の出国は一時的であり、再入国するものと認識していたことが認められること、[4]譲渡人は、本件譲渡対価の支払時に本件譲渡対価の全額により設定された定期預金を含めて多額な預金を国内に有していたこと及び[5]Hの答述から、上記[4]の預金の一部は、納税預金として残していたものと認められることを総合して判断すると、譲渡人の出国は一時的なものであり、再入国してH所有のLマンション101号室において引き続き居住する意思があったと認められる。また、譲渡人の外国人登録は閉鎖されていず、同人の永住許可も失効しておらず、かつ、同人が数次の再入国の許可を受けていたことを勘案すれば、譲渡人は居住者に該当するものと判断することが相当であるから、請求人には、本件譲渡対価の支払について所得税法第212条に規定する源泉徴収義務はない。
 なお、委任状に記載された譲渡人の住所地及び同人の荷物の搬出先の住所地がB国(g市T町233番)である旨の主張については、ここにいうところの「居住する(××語)」という用語は、[1]住んでいる又は[2]居住するということを意味するものであって、必ずしも生活の本拠たる住所地を意味するものではないから、委任状に上記の用語が使用されていることをもって譲渡人がA国に住所を有するものと断定することはできず、他方、売買契約書の「売主」欄には、譲渡人の国内における住所地が記載されているのであるから、この点に関する原処分庁の主張は採用することはできない。
平成7年3月29日裁決




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