▼平成26年7月4日 《ポイント》 本事例は、請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均水道光熱費率を用いて推計する方法について、合理性があると認められるものの、推計の基礎とする水道光熱費の額の計算に当たり、原処分庁の認定誤りがあったため、これを是正し、類似同業者を選定し直した上で、改めて平均水道光熱費及び平均所得率を算出し、原処分庁が採用した推計の方法により請求人の事業所得の金額等を算定することが相当であるとしたものである。 《要旨》 請求人は、原処分庁が採用した類似同業者の水道光熱費率に基づく推計の方法について、類似同業者間の水道光熱費率に較差があること、また、請求人が経営する民宿(本件民宿)が所在する地区の水道料金は他の地区に比べ割高であるなどの特殊事情があるにもかかわらず、これが考慮されていないことから、原処分庁の推計の方法には合理性がない旨主張する。 しかしながら、類似同業者の水道光熱費率の平均値により推計する場合、その平均値を算出することによって類似同業者間の水道光熱費率に開差があったとしても、各類似同業者の個別性が平均化され、推計の合理性が高められるのであるから、多少の較差があるからといって、原処分庁の推計方法に合理性がないというのは相当ではなく、本件において、これを不合理ならしめる程度の較差は見当たらない。また、仮に水道料金が他の地区に比べ割高であったとしても、基礎数値である水道光熱費の額に占める水道料金の額の割合は、せいぜい10%程度にすぎないことからすれば、水道光熱費の額を基礎とする推計方法を不合理ならしめる程度に顕著な事情とはいえない。したがって、原処分庁が採用した推計の方法には、合理性があると認められる。そして、推計の基礎とする水道光熱費の額の計算に当たり、本件民宿に係る水道光熱費の額から家事費相当額を控除する計算方法は、当審判所においても相当と認められる。しかしながら、家事費相当額の計算上、請求人世帯の人員について、原処分庁の認定誤りが存するため、これを是正した上で、原処分庁が設定した抽出基準に従って、改めて類似同業者を抽出すると、誤って類似同業者に選定された者及び選定漏れの類似同業者が認められたことから、誤って類似同業者に選定された者を除外し、選定漏れの類似同業者を採用し、改めて平均水道光熱費及び平均所得率を算出して、事業所得の金額を推計することが相当である。 《参照条文等》 所得税法第156条 |
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