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▼ 裁決事例集 No.57 - 357頁
 原処分庁は、法人税法第37条第6項に規定する寄付金とは、どのような名義をもってするかに関係なく、対価性のない金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与とされているところ、請求人の行った売掛金の減額処理は、廃業等の諸費用を支援するためであり、また、その算出根拠も明確でなく、対価性がない利益の無償供与にすぎないことから、同項に規定する寄付金に該当する旨主張する。
 しかしながら、[1]石油業界における石油卸業者の特約店は、縦の取引で系列以外の商品は扱えない仕組みとなっているところ、特約店の営業状態が悪化すれば将来、請求人に負担が掛かることは社会通念上当然のことであり、業界紙等からも石油業界の経営は今後一段と厳しく、石油スタンドの統廃合は必然的な状況にあることは十分うかがえること、[2]本件特約店4社の平成9年3月を含む事業年度の所得金額はいずれも欠損であり、うち3社は売上、所得とも毎期減少し、平成9年中に実際に廃業等の事実があること、[3]本件売掛金の減額処理の決定は、当事者間でそれぞれ経済的折衝を経て確定したものであり、金額も本件特約店ごとに個々に算定したものであること、[4]請求人は本件特約店と資本系列等特殊な関係になく、経営支配権も有していないこと等から、請求人が将来の石油業界の経済環境等を踏まえ、特約店側の事情というより、請求人における総合的経営戦略として、不採算特約店に対して行ったこれらの行為は、経営遂行上、真にやむを得ないものであり、客観的にみて経済的合理性を有し、社会通念上も相当な処理と認められる。また、請求人は支援の方法として売掛金の減額処理の方法を採ったもので、実質的には債権放棄と認められ、その債権放棄をしなければ、今後より大きな損失を蒙ることが予想され、債権放棄したことによって請求人もメリットがあると判断できる。
 したがって、本件売掛金の減額処理は、請求人自らの経営改善策の一方策であり、事業遂行上、真にやむを得ない費用であるから、寄付金には該当しないものと認められる。
平成11年6月30日裁決




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