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▼ 裁決事例集 No.76 - 258頁
 請求人は、請求人が貸し付けている不動産は貸付けを目的として取得したものではなく当初から利益の発生が期待できないものであり、当該不動産の貸付けは所得税法第143条に規定する不動産所得を生ずべき業務に当たらないから、平成18年10月に請求人が個人事業を開始した事実は同法第144条に規定する「新たに業務を開始した場合」に該当する旨主張する。
 しかしながら、所得税法第26条及び第37条第1項の規定からすると、同法第26条第2項は、不動産の貸付けによる所得の金額はその年中の不動産の貸付けに係る総収入金額から不動産の貸付けに係る総収入金額を得るために直接に要した費用の額及びその年中における不動産の貸付けによる所得を生ずべき業務について生じた費用の額を控除した金額と解される。そうすると所得税法における「不動産所得を生ずべき業務」とは、不動産の貸付けによる所得を生ずべき業務、すなわち、不動産の貸付けをいうものと解するのが相当であって、このほかに、同法には「不動産所得を生ずべき業務」に該当しない不動産の貸付けが存することをうかがわせる規定はなく、また、同法第26条第1項は、不動産所得は不動産の貸付けによる所得とのみ規定し、同法には不動産の貸付けに至った事情又はその利益の有無によって、所得の種類等が左右されるとする規定もないから、請求人が行う不動産の貸付けは、当該貸付けが当初から利益の発生が期待できない貸付行為であったとしても、同法第143条に規定する「不動産所得を生ずべき業務」に該当し、請求人が個人事業を開始した事実は同法第144条に規定する「新たに業務を開始した場合」に該当しない。したがって、請求人の主張には理由がない。
 また、請求人は、請求人の青色申告の承認申請について、平成18年12月31日までに承認又は却下の通知がなかったのであるから、所得税法第147条の規定により青色申告の承認があったものとみなされる旨主張する。
 しかしながら、所得税法第144条に規定する青色申告の承認申請書の提出期限は、青色申告の承認の申請の適法要件であるので、同法第146条及び第147条に規定する青色申告承認申請書の提出があった場合とは、文理上、青色申告承認申請書が法定の提出期限内に提出された場合と解するのが相当であり、青色申告承認申請書が法定の提出期限に遅れた場合には、同法第146条及び第147条の適用の余地はないというべきであるところ、請求人が提出した青色申告の承認申請書は、その法定の提出期限である平成18年3月15日までに提出されていないから、同法第147条の規定により青色申告の承認があったとものとはみなされない。したがって、請求人の主張には理由がない。
平成20年9月16日裁決




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