▼ 平成25年5月29日裁決 《ポイント》 本事例は、妻と使用人との労務提供の程度の差違が従事時間に現れる程度であり、これを前提に適正給与相当額を検討したところ、妻に対する青色専従者給与額は著しく高額であり、当該青色専従者給与額のうち適正給与相当額を上回る部分の金額は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないとしたものである。 《要旨》 請求人は、青色事業専従者である妻に対して支払った給与の金額(本件青色専従者給与額)は、妻の労務の性質及びその提供の程度からすれば、その全額が妻の労務の対価として相当額(適正給与相当額)であると認められるべきである旨主張する。 しかしながら、適正給与相当額として認められるためには、所得税法施行令第164条《青色事業専従者給与の判定基準等》第1項に規定する労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度、その事業に従事する他の使用人が支払を受ける給与の状況及びその事業と同種の事業でその規模が類似するものに従事する者が支払を受ける給与の状況、その事業の種類及び規模並びにその収益の状況の3つの要素を総合勘案して、青色事業専従者の労務の対価として相当であると客観的に認識できるものでなければならないところ、当審判所の調査の結果によれば、請求人の妻の労務の性質は、請求人の事業に従事する各使用人(本件各使用人)のそれと大きく異なるものではなく、妻の労務の提供の程度は本件各使用人のそれと従事時間に現れる程度の差異があったと認められるから、これを前提として、上記の各方法により適正給与相当額を検討したところ、本件青色専従者給与額は、著しく高額であり妻の適正給与相当額であるとは認められない。そうすると、本件青色専従者給与額のうち適正給与相当額を上回る部分の金額は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。 《参考判決・裁決》 名古屋地裁平成13年5月30日判決(税資250号順号8910) 山口地裁平成7年6月27日判決(税資209号1167頁) 名古屋地裁平成5年11月19日判決(税資199号819頁) |
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