▼ 平成31年4月23日裁決 《ポイント》 本件は、平成26年分ないし平成28年分については請求人が、正当に申告すべき収入金額等を認識した上で、真実の所得金額よりも大幅に少なく偽った所得金額を申告する目的で、メモを作成し、そのメモに基づいて所得金額を大幅に偽った収支内訳書を作成して過少申告行為を継続的に行っていたものであり、これら一連の行為は、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を有し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動と認めることができるとした一方、平成25年分については、上記特段の行動が認められないとしたものである。 《要旨》 請求人は、外注費に相当する金額は請求人の収入金額を構成しないとの誤解により収入金額を過少に申告したものであるから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」た事実はない旨主張する。 しかしながら、請求人は3年間にわたり、多額の所得を継続的に過少に申告しており、作成したメモの状況とあいまって、当初から所得を過少に申告する意図があったと認められる。そして、請求人の事業における関係書類の作成及び外注先への支払の状況を踏まえれば、請求人は収入及び外注費のおおよその金額を認識していたと認められるところ、平成26年分においては、当該認識に沿う主要な売上先に係る売上金額及び外注費等の実額が記載されたメモを作成し、また、その後の平成27年分及び平成28年分においては、申告準備段階において事実とは異なる申告すべき金額を記載したメモを作成し、これらを相談会場に持参し、真実の所得を大幅に下回る金額を記載するなど所得金額を少なく偽った収支内訳書を作成し、所得税等の申告をしていたものである。これら一連の行為は、請求人が外部からうかがい得る特段の行動をしたものと評価することができ、重加算税の賦課要件を満たすものである。もっとも、平成25年分はメモの作成は認められず、収支内訳書の記載状況からするとその過少申告の形態がこれ以外の各年分と異なることが認められるから、重加算税の賦課要件を満たすとはいえない。 《参照条文等》 国税通則法第68条第1項及び第2項 《参考判決・裁決》 最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁) |
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