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▼ 裁決事例集 No.59 - 282頁
 相続税法第19条の2第2項は、「分割されていない財産」は配偶者の税額軽減の対象に含めない旨規定しており、また、同法第32条6号は、この「分割されていない財産」が「分割された場合」には、更正の請求ができる旨規定している。「分割されていない財産」を税額軽減の対象としていないのは、配偶者が実際に取得した財産に限りその対象とする趣旨と解され、このことから、この「分割されていない財産」には、配偶者が特定遺贈を受けた財産等、既に配偶者が実際に取得しており、分割の対象とならない財産は含まれない(軽減の対象となる)ものと解されている。
 ところで、最高裁判決(昭和29年4月8日第1小法廷判決、昭和30年5月31日第3小法廷判決)によれば、相続財産中に可分債権があるときは、その債権は法律上当然に分割され(分割の対象とならない)、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するとされているが、他方、家庭裁判所における遺産分割審判においては、遺産全体の分割を円滑に行う等の事情から相続人全員が合意した場合には、可分債権であっても、遺産分割の対象としている取扱いが定着しているものと認められる。そうすると、可分債権であることをもって分割の対象とならないとみることは相当でなく、配偶者が現実に取得していない段階では、相続税法第19条の2第2項に規定する「分割されていない財産」に含まれ、税額軽減の対象とはならないと解するのが相当である。
 しかし、預金債権についてみた場合、分割がなされない場合であっても、配偶者がその法定相続分相当について金融機関に払戻請求を行い、実際に払戻しを受けたときには、配偶者はその金員を実効支配をするに至っていることから、その払戻しを受けた預金は、「分割されていない財産」から除外され、税額軽減の対象になると解するのが相当である。
 同様に、更正の請求においても、払戻しを受けた法定相続分相当については、「分割された財産」に該当するものとして、更正の請求の対象になると解するのが相当である。
平成12年6月30日裁決




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