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▼ 裁決事例集 No.75 - 779頁
 民法は、夫婦間の財産関係について夫婦別産制(同法第762条第1項)を採用し、婚姻費用の分担(同法第760条)及び日常家事債務の連帯責任(同法第761条)の両規定をもって婚姻共同生活に対して配慮するとともに、離婚の場合につき財産分与請求権(同法第768条)を認めていることからすれば、婚姻生活中に形成された財産について、直ちに物権としての共有持分を認めているとは解されない。そうすると、婚姻生活中に夫婦の一方が対外的にその者の名義をもって取得した財産について、その取得に他方の配偶者の協力があったからといって、直ちにその者に物権としての共有持分を認めるのは相当でなく、その者のその財産に対する権利は飽くまで潜在的な権利にすぎないと解され、離婚に至って初めて、潜在的な権利の具現化としての財産分与により、物権としての権利を取得するものと解するのが相当である。
 
請求人は、本件不動産の購入資金は、夫婦共有財産から支出されたものであるから、本件不動産の取得時より共有持分を有しており、物権を取得し得ない差押債権者は民法第177条の第三者に該当しないのであるから、本件差押処分は違法である旨主張する。
 
しかしながら、上記のとおり、本件不動産の取得に当たり、請求人の協力、寄与が認められたとしても、請求人に直ちに物権としての共有持分が認められているとは解されず、本件不動産の売買契約における買主が本件滞納者であること、その購入資金である住宅ローンの返済は本件滞納者が行っていたこと、本件不動産の管理費は本件滞納者が負担していたことからすれば、実体的にも本件滞納者が本件不動産の所有権の全部を取得し、保有していたことが認められ、本件差押処分前に請求人が本件不動産の共有持分を取得した事実は見当たらず、財産分与を原因として請求人への所有権移転登記手続を命ずる本件差押処分後の家裁判決に当たり請求人が本件不動産の所有権を取得したものというのが相当である。したがって、本件差押処分時の本件不動産の所有権を有しているのは滞納者であり、原処分庁は、本件滞納者に帰属する本件不動産を差し押さえたのであるから、民法第177条に係る検討を行うまでもなく、本件不動産を本件滞納者に帰属するものとして行われた本件差押処分に違法な点は見当たらないというべきである。
平成20年2月19日裁決




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