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▼ 裁決事例集 No.74 - 78頁
 請求人は、譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、その資産の支配の移転の事実に基づいて判定した当該資産の引渡しの時により判定すべきところ、請求人は所有権移転登記に必要な書類を引き渡していないこと、契約書上、売買代金の全額の支払いと同時に所有権移転及び引渡しを行うこととなっており、また、違約条項があることから契約破棄が理論上可能であることなどから、本件土地に係る譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は平成17年ではないと主張する。
 しかしながら、その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、その年において収入すべき金額とされているところ、譲渡者による資産の引渡しがあれば、通常、所有権も移転しているものと考えられ、かつ、譲渡者が資産を引き渡した時には、相手方に対してその譲渡代金を請求できることが確定的となり、譲渡代金相当額を収入すべき金額と認識し得る状態とみることができるから、譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、原則として、その所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものと解するのが相当である。
 そして、その引渡しがあった日の判定に当たっては、必ずしも売買契約書上の引渡しの時期に関する文言にとらわれることなく、本件契約と別件契約はもともと一括の契約であるか否かなどの取引諸事情、契約内容及び買主がその資産の使用を開始した時期などを総合的にみて、実質的にその資産に対する支配管理の変動があった時期がいつかという観点から判断するのが相当である。
 本件買受会社は、本件土地及び別件土地を一括して買い受け、本件開発区域の一団の土地の一部として、宅地造成をすることを予定していたと認められる。また、請求人は、本件買受会社の開発行為に全面的に協力する旨を約した上で契約し、本件契約の直後に同社に開発行為施行同意書を提出していること、仮登記以後の本件土地の危険負担等は、同社が負うことになっていることからすると、請求人と本件買受会社の間では、本件契約の締結時に本件土地の支配管理が請求人から本件買受会社に移転する旨の合意があり、本件買受会社は本件土地の使用収益が可能となったものと認められる。そして、本件開発区域の造成工事は、平成17年10月初旬に着工された上、請求人ら地権者の立ち入りもできなかったことから、本件買受会社が現実に使用収益を開始し、実質的に支配管理の移転があったと認められる。
 以上のことからすると本件土地の譲渡の時期は平成17年10月初旬とするのが相当である。
平成19年11月14日裁決




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