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▼ 裁決事例集 No.74 - 66頁
 請求人は、建物移転補償金は、実際に建物を取り壊したときに対価補償金に当たるものとして取り扱うことができることからすると、本件建物等移転料については、本件建物を取り壊した平成16年分の所得として申告すべきであり、平成14年には本件建物の譲渡所得の総収入金額は発生していないから、本件修正申告は、申告義務のない違法な申告であり、本件各土地及び本件建物等移転料に係るいずれの譲渡所得も平成16年分となるべきである旨主張する。
 しかしながら、譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるが、納税者が当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認めることと取り扱われている。
 そして、一の契約において、2以上の資産の譲渡が行われた場合、一部の資産について、その引渡しがあった日を譲渡の日とし、他の資産について、契約の効力が発生した日を譲渡の日として申告することは、納税者の選択により、契約の効力発生の日を譲渡の日として選択することを認めた趣旨に合致しない不合理なものであることから、認められないと解すべきである。
 これを本件についてみると、請求人は、本件建物等移転料については租税特別措置法通達33−14の定めに従い、本件修正申告において、これを対価補償金として申告することを選択しており、その後、本件建物は平成16年3月下旬に取り壊されている。
 また、本件建物等移転料の支払いに係る契約は、本件各土地の譲渡と一体不可分の契約であると認められ、本件各土地の対価補償金と本件建物等移転料のいずれもがこの契約により平成14年において、収入すべきことが確定した金額であると認められる。
 そして、少なくとも、本件建物等移転料を対価補償金として譲渡所得の総収入金額に算入することを選択した場合には、本件各土地の対価補償金と本件建物等移転料の収入すべき金額に係る譲渡所得の収入すべき時期については、同一の基準で判断すべきであると認められるところ、請求人は本件各土地の対価補償金、残地補償金及び建物等移転料について、契約の効力発生の日の属する平成14年分の譲渡所得の総収入金額として修正申告しており、これは適法な申告であると認められる。
 加えて、請求人は、本件修正申告において、譲渡所得の金額の計算上、本件建物等移転料の対象となった本件建物について、平成14年9月末現在の未償却残高を取得費として控除していることが認められ、これは所得税法第38条の規定に照らして適正なものであると認められるから、本件建物の取得に要した金額のすべては、請求人の平成14年分までの不動産所得及び譲渡所得の所得金額の計算上、その各所得の総収入金額から控除されている。
 したがって、平成15年分の所得税の不動産所得の金額の計算において、本件減価償却費を必要経費とすることは、本件建物の取得に要した金額を超える金額を、所得の計算上控除することとなり、すなわち、投下資本の回収部分を超える金額を控除することになるから、本件減価償却費を必要経費に算入することは認められない。
平成19年11月6日裁決




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