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▼ 平成22年11月18日裁決
 国税通則法第46条《納税の猶予の要件等》第2項第5号に規定する同項第4号に類する事実(5号該当(4号類似)事実)とは、事業についての著しい損失と同視できるような著しい売上げの減少等であって、納税の猶予を申請した納税者の責めに帰すことができないやむを得ない事由によって生じた国税の納付を困難ならしめるものをいうものと解される。そして、事業についての著しい損失の有無は、納税の猶予の始期の前日である調査日前1年間(調査期間)と直前の1年間(基準期間)の損益を比較して、基準期間の利益金額の2分の1を超えて損失が生じていると認められるかどうかにより判定することとし、例外的に、調査期間以内において、損失原因があり、その損失原因が発生した日が特定できる場合には、その日以降調査日までの間に生じた損失金額と基準期間の利益金額のうち損失原因の生じた日以降調査日までの期間に対応する期間の利益金額を比較して判定することとしている昭和51年6月3日徴徴3−2及び徴管 2−32の国税庁長官通達「納税の猶予等の取扱要領の制定について」の定めが相当であることからすれば、5号該当(4号類似)事実の有無を判定するに当たっても、同様に判定することが相当である。
 これを本件についてみると、請求人の月別の売上金額の推移をみても、平成20年1月やその前後には大きな変動はなく、請求人には損失原因が発生したとは認められず、請求人が法人成りにより役員報酬を受け取ることとなったことも損失原因とは認められないから、上記の例外的な判定方法と同様の方法によって5号該当(4号類似)事実の有無を判定することは相当でなく、請求人は平成20年3月に法人成りしているので、本件調査日(平成21年3月31日)を基準とする調査期間及び基準期間の売上金額を比較することもできない。また、請求人が主張する平成20年1月から同年3月までの売上金額と平成19年1月から同年3月までの売上金額とを比較して著しい売上げの減少の有無を判定することを相当とする根拠もなく、仮に、それぞれの売上金額を比較しても、その減少の程度が著しいとは認められない。さらに、法人成りにより請求人が役員報酬を受領することになったことは、請求人自らの選択によるものであるから、このことによって個人事業における売上金額に比較して、役員報酬の額が減少したとしても、それは請求人の責めに帰すことができないやむを得ない事由によって生じたものとは認められず、法人成りによって設立された法人の決算報告書によれば、請求人は、請求人の判断によって、役員報酬の一部を当該法人に貸し付けたものと評価できるので、これが、請求人の責めに帰すことができないやむを得ない事由によって生じたものとも認められない。
《参照条文等》
 国税通則法第46条第2項
 昭和51年6月3日徴徴3−2・徴管2−32「納税の猶予等の取扱要領の制定について」




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