TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る


▼ 裁決事例集 No.71 - 626頁
 請求人は、遺留分減殺請求権を行使して本件土地建物の共有持分12分の1について所有権移転登記(以下「本件登記」という。)をしているが、[1]本件登記は、請求人が遺留分の権利保全を行ったにすぎず、具体的な遺留分額はいまだ確定していないから、本件相続によって請求人が受ける利益は確定しておらず、請求人には本件滞納国税に係る連帯納付義務はまだ発生していないこと、[2]仮に、本件登記をしたことが直ちに「相続等によって得た利益」であり、相当額の受けた利益の価額があるとしても、いまだ具体的遺留分額の最終確定と清算処理がなされていない現時点においては、少なくとも本件土地建物に設定された根抵当権に係る本件被相続人関連債務のうち請求人の法定相続分相当額は請求人の負担として債務控除がなされなければならず、かかる債務控除を一切行わないまま、単純に本件土地建物の持分価額をもって請求人の得た利益と即断して本件督促処分をしていることから、本件督促処分は違法であると主張する。
 しかしながら、遺留分減殺請求権の行使は、受贈者又は受遺者に対する裁判外の一方的な意思表示で可能であり、また、その意思表示がいったんなされた以上、法律上当然に減殺の効力が生じるものと解されるところ、本件においては、請求人が遺留分減殺請求権を行使したことにより、本件相続開始時にさかのぼって、本件土地建物の各12分の1の持分を取得したものと認められるから、この点に関する請求人の主張には理由がない。次に、「相続により受けた利益の価額」とは、相続税法第34条第1項が相続税の徴収の確保を図るため、相互に各相続人等に課した特別の責任であるという趣旨に照らせば、相続又は遺贈により取得した財産の価額から相続税法第13条の規定による債務控除の額並びに相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税額及び登録免許税額を控除した後の金額をいうと解するのが相当であり、また、相続税法第13条の規定による控除すべき債務は、同法第14条第1項の規定により確実と認められるものに限るとされているところ、本件においては、実際に請求人の負担に属する部分の債務の金額があるとする証拠はないことから、相続税法第13条の規定による確定した債務控除の額はないものと認められ、この点に関する請求人の主張には理由がない。
平成18年6月26日裁決




類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

相続により受けた利益の価額が確定していないから連帯納付義務はいまだ発生していないとする請求人の主張を排斥した事例


... ▼ 裁決事例集 No.71 - 626頁  請求人は、遺留分減殺請求権を行使して本件土地建物の共有持分12分の1について所有権移転登記(以下「本件登記」という。)をしているが、[1]本件登記は、請求...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20900.html

請求人ほか3名が相続した不動産の共有持分から生ずる賃料収入について、当該賃料収入の全額が請求人に帰属するものである旨の原処分庁の主張を排斥した事例(平成18年分...


... ▼平成27年6月19日 《要旨》  原処分庁は、請求人ほか3名の相続人らが相続した不動産の共有持分から生ずる賃料収入について、請求人が他の相続人ら3名に渡しておらず、また、その全額を請求人の不...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...70000.html

被相続人の死亡によりいったん相続登記(2人各2分の1)がされた土地について、調停がされ、その結果、相続人間で、一方が当該土地を取得し、他方(請求人)が金銭を受領...


... ▼ 裁決事例集 No.49 - 110頁  原処分庁は、被相続人(父)からの相続に係る旧相続登記(兄弟2人各2分の1)に際し、請求人の母が請求人の妻に、登記に必要な印鑑の預託及び登記費用の負担を請求...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...50000.html

未分割遺産の譲渡に係る収入金額が譲渡時において確定していなかった旨の主張を退けた事例


... 裁決事例集 No.20 - 79頁  一般に相続財産は、相続人が数人いる場合には相続開始と共にその共有に属し、かつ、その共有持分は法定相続分によるものとされており、また、分割前の相続財産の処分につい...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20200.html

相続税の期限内申告書の提出がなされなかったことについて国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由がないとした事例


... 裁決事例集 No.35 - 1頁  請求人が他の相続人との間で共有持分確認請求訴訟の維持に追われていたために申告書の提出が期限内にできなかったこと及び原処分庁が申告期限までの間に申告手続についての連...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

土地及び建物に対する被相続人の共有持分は単なる名義上のものにすぎないとする請求人の主張を排斥した事例


... ▼ 裁決事例集 No.59 - 203頁  登記については判例において公信力を認めないと解されているところ、登記は、制度上その手続において、真正な、すなわち有効に存立する実質的な関係に基づくもので...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...10000.html

請求人らが贈与により取得した中古マンションの評価に当たり、財産評価基本通達により難い特別の事情はなく、建替えが行われる蓋然性が極めて高い事情等を考慮していない鑑...


... ▼ 平成22年10月13日裁決  請求人らは、贈与により取得したマンション住戸である本件各不動産について、建物の専有部分の床面積に対応するその敷地面積が広大であるから、本件各不動産の時価を財産評価基...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20000.html

相続人の一人が遺産分割により取得し同族会社に一括貸ししていた単独所有地及び共有地の評価単位は、全体を一画地として評価するのが相当とした事例


... ▼ 平成24年12月13日裁決 《ポイント》  本事例は、相続人の一人が遺産分割により取得した単独所有地及び共有地(いずれも立体駐車場の敷地)について、当該共有地が、遺産分割の前後を通じて当...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

遺留分権利者が遺留分減殺を原因とする土地の共有持分移転登記請求訴訟によって同土地の共有持分権を取り戻したことは、遺留分義務者の相続税法第32条第3号の更正の請求...


... ▼ 平成25年1月8日裁決 《ポイント》  本事例は、遺留分権利者が遺留分減殺請求の目的物について現物返還と価額弁償とを同時に求めていた場合において、遺留分義務者から現物返還が行われたことは...

詳細を表示する