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▼ 裁決事例集 No.72 - 203頁
 請求人は、適格退職年金制度から確定拠出年金制度への移行に際し支払われた本件一時金は、所得税基本通達30−2《引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの》の(1)の定めは、内部積立方式による退職一時金制度を改廃した場合とは示していないから、適格退職年金制度を改廃したことによって引き続き勤務する従業員に対して支払われた本件一時金についても同通達を適用すべきであること、転籍とは、請求人が籍を有していたA社と合併し存続会社となったB社との雇用関係を解消しC社との新たな雇用契約を結ぶということであり、A社の適格退職年金はC社へ継続されず、本件一時金はB社からの退職に基因して支払われたものであるから、所得税法第31条《退職手当等とみなす一時金》第3号の規定に該当すること、過去の勤務期間が継続されない退職金前払い制度の選択により、勤務期間の通算の優遇措置がなくなることから、本件一時金は退職所得に当たる旨主張する。
 しかしながら、本件一時金は、外部拠出型の退職金制度から支払われたものであるため給与としての性質を有しておらず、所得税法第30条《退職所得》第1項に規定する「これらの性質を有する給与」に当たらないので、所得税基本通達30−2の(1)の適用はなく、退職所得とは取り扱われないと解されること、C社は、同社への転籍前にB社の適格退職年金制度の加入者であった者については、B社の勤続年数を通算する旨を退職慰労金規定において定め、転籍者に係る同制度の年金資産を退職年金規約に基づきD信託銀行(運用機関)に移換しており、請求人には、転籍によるB社との雇用関係の解消は認められるが、B社の適格退職年金制度に基づいて支給を受ける一時金の受給権は発生せず、転籍後は、C社の適格退職年金制度が適用されることとなったことから、本件一時金は、転籍によるB社との雇用関係の解消に基因して支払われたものではないから、退職所得には当たらないこと、本件一時金は、適格退職年金契約の解約に基づく分配金が退職金前払い制度を選択したことにより支払われたものであるから、退職所得には当たらないことから、請求人のいずれの主張にも理由がない。
 以上のとおり、本件一時金は、請求人の退職により支給された分配金ではないから、所得税法第30条第1項及び同法第31条第3号の規定には当たらず、C社の適格退職年金契約の解約に伴い、D信託銀行から支払を受けたものであるから、所得税法第34条《一時所得》並びに同法施行令第183条《生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等》第2項及び第3項第3号の規定により一時所得に該当する。
平成18年12月13日裁決




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