裁決事例集 No.39 - 106頁 値下がりしている保有株式を売却すると同時に、同一銘柄の株式を同株数、同価額で購入する取引によって生じた売却損について、原処分庁は、かかる取引は手数料等の実損を生じるだけ積極的な利益追求としてのメリットは全くない、株式売却損を発生させ、他の売買益と通算して税負担を減少させる目的で行ったものと認められるから、所得税法に内在する実質課税の条理に基づき、本件取引はなかったものとして雑所得の金額を計算すべきである旨主張する。 しかし、[1]本件売却損は、保有株式の値下がりによる損失を現実の売却により顕在化させただけであって、意図的に作り出したものではないから、結果として損失が生じたとしても、不自然、不合理なものとはいえないし、[2]保有株式の値下がりによる損失を顕在化させる目的で本件取引をしたものであっても、株式取引が極めて経済的危険の多い取引であり、所得税が経済取引上考慮されるべき経済的負担であることを考えると、そのような目的があるからといって、これを不自然、不合理として否定することはできず、[3]現実の取引によって値下がり損失を実現している以上、評価損と同視することはできず、仮装ないし不自然な取引とはいえないから、その行為は租税回避行為に当たらない。 平成2年4月19日裁決 |
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値下がりしている保有株式を売却すると同時に、同一銘柄の株式を同株数、同価額で購入する取引によって生じた売却損について、これを租税回避行為として否認することはでき...
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裁決事例集 No.39 - 106頁
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新株予約権の行使に伴い生じた経済的利益は雑所得に該当し、また、新株予約権の取得についての情報提供者に支出した手数料は雑所得の金額の計算上必要経費に算入されるとし...
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▼ 裁決事例集 No.76 - 136頁
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請求人と滞納会社が共同して売却した本件不動産(土地は各別に所有、建物は共有)の売却代金について、不動産の持分に応じて配分を受けるのが相当であるから、請求人は受け...
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本件ゴルフ会員権に係る取引は、所得税法第33条第1項に規定する資産の譲渡とは認められないとした事例
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貸金庫内に保管されていた株券は、貸金庫の開閉状況、株券の管理・処分の決定方法等の状況からみて、本件被相続人名義分も含めて、その全部が、本件被相続人の被相続人であ...
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本件株式は、すべて被相続人固有の資金によって取得され、かつ、すべて同人名義で保護預かり又は登録されていることから、被相続人に帰属するものと認められるとした事例
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裁決事例集 No.44 - 271頁
本件株式は、被相続人名義ではあるが請求人に帰属する金員を被相続人に預託し、被相続人が運用した結果形成された請求人固有の財産であり相続財産ではない旨主張するが、...
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有価証券及び貸付金債権が請求人らの相続財産であるとした事例
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裁決事例集 No.42 - 155頁
[1]本件有価証券は、本件覚書により被相続人から被相続人が会長であったE社に贈与されており、請求人らの相続財産となるものではない旨、及び[2]被相続人のF社に...
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請求人の勤務する会社が属するグループを支配する外国法人から、請求人に無償で同法人の株式を取得できる権利が付与されたことに基づいて生じる経済的利益は、当該権利が確...
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▼ 裁決事例集 No.72 - 89頁
(1) 請求人は、請求人の勤務する会社(内国法人)が属するグループを支配する法人であるH社(外国法人)から、同グループの従業員持株制度に基づき、請求人に無償で...
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ビール、飲料水メーカーの特約店及び容器問屋に容器を納入する本件取引は、単なる役務の提供ではなく、自己の計算において容器等を売買しているものであるから、特約店等か...
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▼ 裁決事例集 No.57 - 529頁
請求人は、ビール及び飲料水メーカーの特約店等との間における容器等に係る取引において、特約店等から容器等保証金と容器等の納入手数料を併せて収受しており、容器...
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