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▼ 平成28年2月8日裁決
《要旨》
 請求人は、請求人が個人事業を営む代表者に有していた売掛金(本件債権)の放棄は、代表者が旧賃貸人から賃借していた建物(本件建物)に係る旧賃貸人による本件建物の明渡し等を求めた訴訟についての和解により旧賃貸人が代表者に対して債権放棄を行っている事実からも明らかなように、その時点において本件債権の回収可能性がなく、本件債権の放棄の金額は法人税基本通達9−6−1《金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ》の(4)の取扱いにより損金の額に算入することができる旨主張する。
 しかしながら、本件債権の放棄が行われた事業年度(本件事業年度)末の前後における代表者の収入の状況及び本件事業年度中の代表者からの売掛金の回収の状況を考慮すると、本件債権の全額が回収不能とは認められない。また、本件債権を放棄した事実は認められるが、本件債権の放棄が書面により行われたことを示す証拠がないことからすれば、債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額はないのであるから、本件債権の放棄は同通達の(4)に掲げる事実に該当しない。さらに、法人税基本通達9−6−1の(1)ないし(3)に掲げる事実に関する証拠はなく、これらの事実も認められない。したがって、本件債権の放棄は法人税基本通達9−6−1に定める法律上の貸倒れに該当せず、請求人が本件債権の放棄をしたとして計上した雑損失の金額は、貸倒損失として損金の額に算入されない。そして、本件債権の放棄は、回収不能とはいえない債権を放棄したものであるから、対価なくして経済的価値を有する債権を債権者が任意に処分したものであり、かつ、その行為について通常の経済取引として是認できる合理的な理由が存在するとは認められないから、請求人が本件債権の放棄をしたとして計上した雑損失の金額は、寄附金の額に該当する。
《参照条文等》
 法人税法第22条第3項
 法人税法第37条
 法人税基本通達9−6−1
《参考判決・裁決》
 名古屋地裁平成8年3月22日判決(税資215号960頁)
 東京高裁平成7年5月30日判決(税資209号940頁)
 宇都宮地裁平成15年5月29日判決(税資253号順号9355)
 大阪高裁平成17年2月18日判決(税資255号順号9936)




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