▼ 裁決事例集 No.60 - 185頁 金銭貸付けに係る所得について、請求人は、貸金業者として登録しており、営業チラシの配布により広く一般の顧客を求めるとともに、人的・物的設備を備えて事業として金銭を貸し付けているので、事業所得に該当する旨主張する。 しかしながら、本件における特定の法人に対する金銭貸付行為は、[1]請求人と当該法人とが特殊の関係にあること、[2]担保を徴していない若しくは担保が形式的で実質を伴わないこと、[3]貸付金利が低すぎること、[4]請求人は、当該法人が市中から借り入れる際に、保証料を得ることなく連帯保証人となっていること、[5]当該法人は自力で市中銀行から融資を受けられる状況になかったこと等を勘案すると、社会通念に照らして営利を目的とした事業として行われているとは認められない。 また、特定の法人以外の者に対する金銭貸付行為は、[6]平成7年分は7名延べ8件の1,600千円であり、平成8年分及び平成9年分は新たな貸付けがないこと、[7]その請求人の平成8年分受取利息の総額は49,497円と少額であること、[8]請求人は、主に給与収入により生活を維持していることなどからすると、貸付口数の多寡、反復継続性等を客観的にみて、いまだ事業規模に達していないとするのが相当である。 したがって、本件金銭貸付けに係る所得(損失)は、所得税法第27条に規定する事業所得には該当せず、同法第23条[利子所得]から第34条[一時所得]までに規定するいずれの所得にも該当しないことから、同法第35条に規定する雑所得に該当し、また、この雑所得の金額の計算上生ずる損失の金額については、同法第69条第1項の規定による損益通算をすることはできない。 平成12年9月19日裁決 |
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