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▼ 裁決事例集 No.77 - 111頁

 請求人は、C銀行等に支払った1,200万円は主たる債務者をBとする保証債務の履行である旨主張する。しかしながら、請求人は、Q市物件にC銀行等のために抵当権が設定されていることを認識しながらこれを買い受け、売主であるAらに本来支払うべき売買代金1,200万円を、抵当権消滅請求のために、C銀行等に対して支払ったにすぎないから、請求人が、AらのC銀行等に対する債務の保証をした事実はない。
 また、請求人は、本件土地を譲渡し、その譲渡代金で保証債務を履行するつもりであったが、買い手が見つからず直ちに譲渡することができなかったため、やむを得ず本件各借入金と自己資金により保証債務を履行したのであるから、本件譲渡は実質的に保証債務を履行するためのものである旨主張する。
 しかしながら、所得税法第64条第2項の規定による特例を適用するためには、債務の保証をしたこと、保証債務の履行のために資産を譲渡したこと、保証債務を履行したこと及び履行に伴う求償権の全部又は一部が行使することができなくなったことの実体的要件が必要であると解される。請求人は、BのF社に対する債務を連帯保証しているから、F社の債権譲渡先であるG社に対する請求人による支払は、上記の実体的要件の及びを充足する。しかし、請求人は、本件各借入金のうちの550万円及び自己資金によりG社に対する代位弁済をしており、本件譲渡は上記代位弁済後になされているから、本件譲渡代金が直接保証債務の履行に充てられたわけではない。したがって、上記の実体的要件のを充足するというためには、本件譲渡が、実質的にみて保証債務の履行のための資産の譲渡と認められることが必要である。そうすると、本件各借入金のうち550万円は本件保証債務の履行に充てられたものと認められるが、本件譲渡は、本件保証債務の履行から3年以上経過してから行われている上、本件各借入金の返済は、自己資金により行われており、本件譲渡代金が本件各借入金の返済に充てられた事実は認められない。
 以上によれば、本件譲渡は、実質的に保証債務を履行するための資産の譲渡であったとはいえず、本件譲渡代金と本件保証債務の履行との間に因果関係は認められないから、上記の実体的要件のを充足しない。したがって、本件譲渡は「保証債務を履行するため資産の譲渡があった場合」には該当しない。

平成21年6月5日裁決




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