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▼ 裁決事例集 No.72 - 246頁
 請求人は、源泉徴収制度は、徴収義務者が一定の所得税額を天引徴収して納付する手続であり、源泉徴収によって納付された所得税は、原則的に確定申告によって清算され、給与等の支払者が誤って過大に徴収納付した金額は、所得税法第120条第1項第5号に規定する「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額」に含まれると解することに法文上の支障はなく、このように誤った徴収納付がされた場合には、納税義務者は確定申告において清算調整することができると解すべきである旨主張する。
 しかしながら、源泉所得税と申告所得税との各租税債務の間には同一性がなく、源泉所得税の納税に関しては、国と法律関係を有するのは支払者のみで、受給者との間には直接の法律関係を生じないものとされていることからすれば、所得税法第120条第1項第5号の源泉徴収税額の控除の規定は、申告により納付すべき税額の計算に当たり、算出所得税額から源泉徴収の規定に基づき徴収すべきものとされている所得税の額を控除することとし、これにより源泉徴収制度との調整を図る趣旨のものと解されるのであり、その税額の計算に当たり、源泉所得税の徴収・納付における過不足の清算を行うことは所得税法の予定するところではない。のみならず、給与等の支払を受けるに当たり誤って源泉徴収をされた(給与等から不当に一部天引控除された)受給者は、その不足分を即時かつ直接に支払者に請求して追加支払を受ければ足りるのであるから、このように解しても、その者の権利救済上支障は生じない。
 そうすると、所得税法第120条第1項第3号に掲げる算出所得税額から控除すべき同項第5号に規定する「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額」とは、所得税法の源泉徴収の規定に基づき、正当に徴収された又はされるべき所得税の額を意味するものであり、給与その他の所得についてその支払者がした所得税の源泉徴収に誤りがある場合に、その受給者が、所得税の確定申告の手続において、支払者が誤って徴収した金額を算出所得税額から控除し又は誤徴収額の全部若しくは一部の還付を受けることはできないと解するのが相当であり、この点に関する上記の請求人の主張は、独自の見解であって採用できない。
平成18年11月27日裁決




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