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▼ 裁決事例集 No.73 - 1頁
 請求人は、青色申告者からの更正の請求が認められない場合には、国税通則法第23条第4項及び所得税法第155条第2項の規定の精神を酌み、通知書に理由を附記すべきである旨主張する。
 しかしながら、国税通則法第23条第4項によれば、税務署長は、更正の請求があった場合には、調査の結果、更正をすべき理由がないと判断したときは、請求者にその旨を通知すれば足り、更正をすべき理由がない旨の通知書に理由を附記すべきことを定めた法令の規定はないから、本件通知処分に係る通知書に理由の附記がないことに違法はない。また、本件通知処分は、所得税法第155条第2項が前提とする同条第1項の更正処分とは法的に全く異なり、実質的にみても、所得税法第155条第2項が青色申告書に係る更正処分に理由附記を要求している趣旨は、納税者が提出した申告書の誤りを税務署長が指摘するときに理由附記を義務付けることにより、その慎重な処分を期するとともに、不服申立てに際しての判断材料を与えようとする点にあると解されるところ、国税通則法第23条第4項に基づく更正をすべき理由がない旨の通知処分については、納税者の更正の請求に対する応答としてなされるものであるから、上記の趣旨が当てはまるものではないと解される。
 したがって、請求人の主張は、法の要請を超える独自の見解であり、採用できない。
 また、請求人は、住宅借入金等特別控除の適用要件を実質的に満たしているから、国税通則法第23条第1項にいう課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったことに該当する旨主張する。
 しかしながら、申告納税方式における納税義務者は、申告行為によって具体的な租税債務を負担することになるが、納税者が申告をした後、その申告内容に変更を加える必要の生ずる場合があることは否定できず、このような場合にはその修正を認めるべきであるが、あらゆる場合にこれを自由に認めることは、申告の性格に照らして適当といえないのみならず、納税義務の具体的内容を不安定にさせ、行政を混乱に陥れる弊害もあるから、国税通則法第23条第1項は、これに一定の制限を加え、一定の期間内に限り特定の手続によってのみ是正することができるものとしたと解される。このような見地からすると、一定事項の申告等を条件に所得金額、税額の減免をすべきこととされているものについてその申告等をしなかった者が、後日その特例の適用を求めるために更正の請求をすることは、許されないと解することが相当である。それは、上記一定事項の申告等を付さないでした納税の申告といえども、法律の規定に従っていなかったり、計算に誤りがあったりしたわけではなく、実体的に不当であるとはいえないからである。
 これを本件についてみるに、住宅借入金等特別控除は、申告等を条件に適用され、所得税額が減免される規定であるところ、請求人は、平成17年分の所得税の確定申告を行うに当たり、同控除の適用を申告しておらず、本件更正の請求は、申告後に同控除の実体的要件を満たしているとして、その適用を求めようとしているものであるから、国税通則法第23条第1項による更正の請求ができる場合に該当せず、その理由がないというべきである。
平成19年2月19日裁決




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