TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る


▼ 裁決事例集 No.75 - 745頁
 一般に、譲渡担保権は、弁済や担保権の実行による被担保債権の消滅に伴い消滅すると解されており、国税徴収法第24条第7項の規定からすると、同条も通常は被担保債権が消滅した場合に譲渡担保権が消滅し、譲渡担保財産が存在しなくなることを前提に規定されているものと解されるから、譲渡担保権者がその意思表示により担保権の実行を開始しても、当該実行が完了するまで、すなわち、譲渡担保財産の適正な評価又は換価をした上で被担保債権の清算等を行い、消滅する被担保債権の額が確定して消滅するまでは譲渡担保権は消滅せず、譲渡担保権の設定された財産は、譲渡担保財産として存続するものと解され、この理は譲渡担保財産が債権である場合にも当てはまると考えられる。そして、譲渡担保財産が債権の場合、譲渡担保権者としては担保権の実行として現実に譲渡債権から回収した金額と同額の被担保債権を消滅させるというのが通常の意思であることからすると、当事者間でこれと異なる特段の合意をしない限り、譲渡担保権者が第三債務者から現実に譲渡債権を取り立てて被担保債権の弁済に充当するまでは被担保債権は消滅しないから、その時点までは担保権の実行は完了せず、国税徴収法第24条第1項にいう譲渡担保財産として存続すると解するのが相当である。
 
本件においては、本件滞納者と請求人との間に、第三債務者から現実に譲渡債権を取り立てて被担保債権の弁済に充当する以前に譲渡債権をその券面額で被担保債権の弁済に充当して被担保債権を消滅させるなど通常の意思と異なる特段の合意があったことは認められず、請求人の譲渡担保に係る本件各債権の回収状況をみると、本件告知処分前に請求人が本件各債権を現実に取り立てて被担保債権の弁済に充当し、被担保債権が消滅して担保権の実行が完了したということもできないから、本件各債権は、本件告知処分時において、国税徴収法第24条第1項の規定に係る譲渡担保財産に該当する。
平成20年4月7日裁決




類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

告知処分時において譲渡担保の目的とされた債権が譲渡担保財産として存続していたとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.75 - 745頁  一般に、譲渡担保権は、弁済や担保権の実行による被担保債権の消滅に伴い消滅すると解されており、国税徴収法第24条第7項の規定からすると、同条も通常は被担保債...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

相続税法第34条の連帯納付義務者から金銭の贈与を受けた者に対する国税徴収法第39条の第二次納税義務の告知処分が適法であるとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.65 - 1024頁  国税徴収法第39条と詐害行為取消しとの関係  国税徴収法第39条の第二次納税義務は、滞納者の悪意を要件としていないものと解されていることに加えて、無償...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

滞納者から請求人に譲渡された各診療報酬債権は、譲渡担保財産に当たらないと認定した事例(譲渡担保権者の物的納税責任に関する告知処分、債権の各差押処分、平成28年2...


... ▼ 平成29年3月3日裁決 《ポイント》  本件における滞納者から請求人に対する診療報酬債権の譲渡契約を譲渡担保設定契約とみることは相当でない。 《要旨》  原処分庁は、滞納者(本件滞納者)が将来取...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

「一括支払システムに関する契約書(代金債権担保契約書)」第3条の2(国税徴収法第24条の規定に基づく譲渡担保権者に対する告知が発せられたときは、当座貸越債権は何...


... ▼ 裁決事例集 No.49 - 585頁  本件条項の下においては、告知が発せられた時に担保権が実行されたことになるが、告知が発せられたかどうか、いつ発せられたかは、告知書を受領して初めて知ることが...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

債権譲渡の通知がされた債権を差し押さえた後、譲渡担保財産であるとして譲渡担保権者に対してした告知処分が適法とされた事例


... ▼ 裁決事例集 No.55 - 742頁  請求人と滞納会社の間で締結された運賃等売掛債権の譲渡契約に基づく債権譲渡の通知は、これを第三債務者に通知することによって、担保のため譲渡された債権が特定さ...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

国税徴収法第24条の規定に基づく譲渡担保権者に対する告知処分が適法と認められた事例


... ▼ 裁決事例集 No.58 - 301頁  本件譲渡担保は、帰属清算型であるとの判断の下に、[1]告知処分がされた時点においては、未だ利息の返済期限が到来しておらず履行遅滞となっていないこと、[2]...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

告知処分時において譲渡担保権の実行は完了しておらず、被担保債権は消滅していないから、譲渡担保権者の物的納税責任に関する告知処分は適法であるとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.66 - 363頁  請求人は、本件債権につき、第三債務者に対し、債権譲渡通知及び担保権の実行を通知するとともに、登記事項証明書を送付していることから、本件債権は、告知処分の時...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

譲渡担保権者に対する告知処分及び譲渡担保財産につきした差押処分は、国税徴収法第24条第1項ないし第3項の規定に従って適法になされているとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.69 - 437頁  請求人は、告知処分について、[1]徴収不足であることを請求人に明らかにしないでなされたものであり違法であること、[2]延納の担保権設定順位に瑕疵があること...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

滞納者の破産手続開始決定後に行われた滞納者を譲渡担保設定者とする譲渡担保債権についての滞納処分が破産法第43条第1項の規定に反しないとした事例


... ▼ 裁決事例集 No.75 - 725頁  譲渡担保の目的とされた将来生ずべき債権については、遅くともそれが発生したときに譲渡担保権者に移転すると解されるところ、本件譲渡担保債権は、滞納法人について...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...00000.html

本件ゴルフ会員権は、その譲渡の時点において優先的施設利用権が消滅していたとは認められないから、譲渡所得の基因となる資産に該当し、その譲渡による損失は他の各種所得...


... ▼ 裁決事例集 No.73 - 197頁  ゴルフ場経営会社F社は、ゴルフ場施設を所有するE社との間で、本件ゴルフクラブの経営並びにこれに関連する業務の一切を受託すること等を内容とする本件委任契約を...

詳細を表示する