▼ 裁決事例集 No.65 - 533頁 請求人は、本件不動産について、本件相続開始前に本件公正証書に基づいて請求人の子らが被相続人から生前贈与を受けたものであり、本件相続財産ではない旨主張する。 しかしながら、本件不動産の所有権移転登記手続および使用収益の状況などに照らすと、被相続人は、本件公正証書に基づいて、孫らに対し本件不動産を真に贈与する意思を有していたとは認め難く、孫らも、本件不動産を取得したとする認識があったとは認められない。 また、公正証書を作成した目的が、請求人が主張するように、孫らに対する相続税の節税のための生前贈与にあるとするならば、孫らの親権者である請求人を含めた当事者は、本件不動産についての贈与税の申告が必要であるとの認識を有していたとみるのが自然であるところ、本件不動産に係る贈与税の申告はされていない。 そうすると、本件公正証書は将来の相続税の負担を回避するなど、何らかの意図を持って作成された、実体を伴わない形式的な文書であるとみるのが自然かつ合理的であり、本件公正証書によって被相続人と孫らの間に贈与の合意が成立していたものとは到底認められず、請求人の主張には理由がない。 請求人は、本件連帯保証債務について、銀行取引約定書における連帯保証人としての署名・押印は請求人の承諾なく被相続人が無断で行ったものであり、請求人の保証人としての責任はもとより発生しておらず、本件借入金に係る保証人は被相続人一人であるから本件連帯保証債務の全額を債務控除すべきである旨主張する。 しかしながら、銀行取引約定書には請求人の実印が押印されていること、主たる債務者である関係法人の当時の代表者が請求人自身であること、また、請求人は銀行から請求人あてに発せられた催告書に対して異議を述べた形跡がないことなどからみて、請求人は保証人であることを十分に認識していたと認めるのが相当であり、請求人の主張は採用できない。 また、本件借入金については、連帯保証人以外に物上保証人がいることから保証人は3名となり、その負担額は均等であると認められることから、本件相続について債務控除すべき被相続人の保証債務の額は、本件連帯保証債務の額の3分の1とするのが相当である。 平成15年3月25日裁決 |
類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例
1. 書面による贈与契約であってもその契約の効果が真実生じているか否かを実質的に判断するべきであるとした事例2. 複数の連帯保証人と物上保証人がある場合の負担割...
...
▼ 裁決事例集 No.65 - 533頁
請求人は、本件不動産について、本件相続開始前に本件公正証書に基づいて請求人の子らが被相続人から生前贈与を受けたものであり、本件相続財産ではない旨主張する...
詳細を表示する
金員の取得原因は死因贈与ではなく贈与によるものであるとした事例
...
▼ 裁決事例集 No.73 - 425頁
原処分庁は、本件贈与証明書の「3」の記載に基づき2回目の贈与が死因贈与に該当すると解しているが、5,000万円を贈与することについて、その「1」及び「2」...
詳細を表示する
請求人が取得した土地について、兄からの贈与によるものではなく、相続により取得したものであると認定した事例
...
裁決事例集 No.18 - 109頁
原処分においては、兄が相続財産として取得した本件土地の2分の1を、その後、弟である請求人が贈与を受けたものと認定しているが、[1]本件土地について、兄を単独相...
詳細を表示する
相続税の納税猶予の特例の適用を受け、その後特定転用の承認の対象となった建物について、納税猶予の期限を確定させることとなる建物の譲渡の事実があったとした事例
...
▼ 裁決事例集 No.63 - 620頁
請求人は、相続税の納税猶予の特例の適用を受けていた本件建物を譲渡した事実はないから、納税猶予の期限は確定していない旨主張する。
しかしながら、本件建物に...
詳細を表示する
滞納法人の代表者である請求人の実印が押なつされた納税保証書は、請求人の同意もなく従業員によって作成、提出されたものであって、無効であるとの請求人の主張に対し、請...
...
▼令和2年7月1日裁決
《ポイント》
本事例は、納税保証書の真正な成立について、請求人から、いわゆる二段の推定における請求人の意思に基づくことの反証がされたところ、納税保証書の作成時の請求人の実印...
詳細を表示する
請求人は、区分所有建物であるマンションは一戸でも譲渡すれば、これに係る新規取得土地等に係る負債利子の損金不算入額の全額を損金に算入すべき旨主張するが、1棟の建物...
...
▼ 裁決事例集 No.54 - 323頁
請求人は、[1]租税特別措置法第62条の2の規定の立法趣旨は、租税負担回避の防止、地価の高騰を抑制することにあるが、当該土地は、新築マンションを販売する...
詳細を表示する
請求人の妻が現に不動産貸付業及び理容業に係る業務に従事していたとしても、その事務量は僅少であるから、青色事業専従者に該当しないとした事例
...
▼ 裁決事例集 No.49 - 76頁
請求人は、青色申告者で不動産貸付業及び理容業を営み、その妻が[1]不動産管理台帳の記載、[2]賃貸料の受領及び領収書の発行、[3]賃貸料未納者に対する督促及...
詳細を表示する
関与税理士が無断で作成、提出した確定申告書は無効である旨の主張を退けた事例
...
裁決事例集 No.19 - 1頁
請求人は、確定申告書につき関与税理士が無断で作成し、提出したものであると主張するが、[1]当該関与税理士は、請求人から法人設立以来引き続き各事業年度の決算書及び法...
詳細を表示する
請求人が代表取締役である法人の従業員が、請求人の定期預金の一部を払い戻し、費消したことは横領に当たらず、その損害は雑損控除の対象となる損失に該当しないとした事例...
...
▼ 裁決事例集 No.76 - 169頁
請求人は、平成16年から平成17年までの間に、銀行の貸金庫に保管していた現金を、請求人が代表取締役を務める法人の従業員に窃盗されたが、当該損失は、その事実...
詳細を表示する