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▼ 裁決事例集 No.73 - 278頁
 同族会社であるG社は、請求人から賃借している本件各土地をH社に転貸するなどし、それに伴う業務及び経済的負担を負うとともに、本件各土地転貸料を得ているのであるから、実質的にみれば、本件各土地転貸料と本件各土地賃料との差額が、G社が請求人から取得する本件各土地の管理の対価、すなわち管理料相当額とみることができる。
 したがって、本件各土地賃料の額が不当に低額であるか否かは、当該管理料相当額が適正か否かを基準に判断すべきである(以下、この基準により適正賃料を算定する方法を「適正管理料置換方式」という。)。
 そこで、審判所において選定した比準同業者の賃貸料収入の額に占める管理料の割合の平均値をもって適正管理料割合とし、当該適正管理料割合を本件各土地転貸料に乗じることにより本件各土地に係る適正管理料を算定した。
 そして、適正管理料置換方式は、土地賃貸借契約を管理委託契約という契約形式に置き換えるものであるから、適正管理料の算定に当たっては、管理委託契約では生じない土地賃貸に係る保証金の差し入れを加味するのが相当であり、請求人は、G社から本件各土地賃貸借契約に基づき定期借地権の設定による保証金(2億円)を受領していることから、当該保証金の運用益相当額を算定して本件土地転貸料から控除するのが相当である。
そこで、当該保証金に係る運用益相当額を保証金の経済的利益の課税に当たって適正な利率として用いられている10年長期国債の年平均利率を用いて算定した。
 以上のことから、適正管理料置換方式による本件各土地に係る適正賃料(審判所認定適正賃料)の額は、本件各土地転貸料の額から本件適正管理料の額及び本件運用益相当額を控除した後の金額であり、本件各年分に係る審判所認定適正賃料の額を本件各土地賃料の額と比較すると、後者は著しく低額であることが明らかであることから、本件各賃貸借契約は請求人が当該同族会社の株主・代表取締役という関係でなければ結ばれ得ないものであり、客観的にみて経済的に合理性を欠き、不自然・不合理であるといわざるを得ない。
 なお、本件においては、G社は、請求人から賃借している本件各土地を転貸して、本件各土地転貸料を得ているところ、原処分庁においては、本件各土地の近隣において、請求人と類似の条件で土地を貸し付けていると認められる者を比準同業者として選定し、当該比準同業者の平均賃料を適用する方法により、本件各土地に係る適正賃料を算定しているので、原処分庁の主張する適正賃料に合理性を認めることはできない。
平成19年6月19日裁決




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