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裁決事例集 No.40 - 104頁

 請求人は、期末に有する有価証券(株式)の評価額の計算につき、総平均法に基づく低価法によるべき旨主張するが、請求人は期末直前において現物株式の買付けの約定とあわせて、同一銘柄の株式の同株数、同価格の信用売付けの約定をし、さらに現株渡しによる決済の約定をしているところ、法人税法施行令第47条の2の規定によれば、信用取引等の方法による株式の売買にあっては、1個の買付けと売付けを単位として個別に期末評価額を算定すべきことになる。
 これを本件に即していえば、信用取引の決済手段に充てられるべき期末買付け株式のうち、期末においてその決済期日が到来していないものは、信用取引の未決算勘定の一つとして、期中に売買が完了した株式とは別個に、当該買付け株式の取得に要した金額により評価するのが相当である。
 請求人は、債券先物取引について、期末の直前において相反する同数量、同金額の売建て玉と買建て玉とを設定し、次いで損失の発生している一方の建て玉を手仕舞いして名目上の損失を確定させるとともに、新たに同方向の建て玉を同数量設定することにより、常に売建て玉と買建て玉を均衡させ、最終的には、これらの建て玉の差金決済日を翌期首とする反対売買によりその損益を確定させている。
 請求人は、債券先物取引に係る損益については、反対取引により手仕舞いして差金を決済する日に計上すべきである旨主張し、この建て玉を個別的にみれば、その主張に沿うかにみえるが、このような1組の売建て玉と買建て玉は、もともと一方に利益があれば他方に損失が生じる仕組みのものであって、一方に生じるかもしれない損失を他方の利益によって補てんすることを目的として設定されるべきものとみられるから、売建て玉と買建て玉とが同時に手仕舞いされて初めて意味のある取引であり、損益の認識も両者を総合して行うべきものであるから、相互に損益を担保し合っている売建て玉と買建て玉とが共々手仕舞いされるべきとき、すなわち翌期首(差金決済日)に損益が確定し、中間的に一方の建て玉のみについて手仕舞いしたことによる損益は、未決算勘定として翌期に繰り越されるべきこととなる。

平成2年12月18日裁決




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