TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る


▼裁決事例集 No.79
 請求人は、各変額保険契約の保険料の支払に充てる目的で借り入れた本件借入金の利息の支払のために締結した本件当座貸越契約に係る第二借入金は、当該各変額保険契約と別個独立のものではなく、一体のものとして捉えるべきであること、本件借入金に係る本件長期総合ローン契約及び本件当座貸越契約の各融資契約につき本件借入金から支出した抵当権設定費用等は、当該各融資契約をしなければ変額保険契約に基づく本件保険金等を受け取ることができなかったものであるから、いずれも本件保険金等を得るために必要不可欠な支出であり、所得税法第34条第2項に規定する「その収入を得るために支出した金額」に該当する旨主張する。
 しかしながら、所得税法第34条第2項が、一時所得の金額の計算における控除の対象を、「収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)」と規定している趣旨は、一時所得に係る支出には、収入が得られた時はその控除項目としての意味をもつと同時に、一種の消費支出としての側面があることから、一時所得に係る収入、支出については、収入を生じた各行為又は各原因ごとに個別対応的に計算し、その反面、収入を生じない行為又は原因に係る支出は控除項目から除外することにあると解される。
 このような趣旨にかんがみれば、「その収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」とは、収入を得るために直接支出した金額など収入を生じた各原因ごとに直接支出した金額に限られると解するのが相当である。
 そうすると、本件当座貸越契約は、本件長期総合ローン契約とは別個独立の契約であり、本件当座貸越契約に係る利息債務は、本件当座貸越契約を前提として発生する債務であるから、本件当座貸越契約に係る利息の支払は、収入を生じた原因の発生、すなわち、本件保険金等に係る変額保険契約の締結とは直接の関連性を有しないというべきである。
 また、抵当権設定費用等は、いずれも、当該各融資契約の実行のために支出したものであり、これは、収入を生じない行為又は原因に係る支出であるから、そもそも控除項目に該当しないというべきである。
《参照条文等》
所得税法第34条第2項
所得税法施行令第183条第2項第2号
平成22年2月19日裁決




類似の国税不服審判所 公表裁決税務事例

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...40000.html

死亡保険金に係る一時所得の金額の計算上、借入金利息の支払のための借入金及び当該借入金に係る抵当権設定費用等は収入を得るために支出した金額に該当しないとした事例


... ▼裁決事例集 No.79  請求人は、各変額保険契約の保険料の支払に充てる目的で借り入れた本件借入金の利息の支払のために締結した本件当座貸越契約に係る第二借入金は、当該各変額保険契約と別個独立のもの...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30000.html

満期生命保険金に係る一時所得の計算上、受取人以外の法人が負担した保険料は、受取人が実質的に負担したものではないから、収入を得るために支出した金額には含まれないと...


... ▼ 裁決事例集 No.71 - 299頁  請求人は、契約者及び死亡保険金の受取人を法人とし、満期保険金の受取人を請求人とする養老保険契約の満期保険金に係る一時所得の計算において、所得税法第34条《...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30100.html

差押不動産の売買契約における買主は滞納者であり、その購入資金である住宅ローンの返済は滞納者が行い、差押え前に請求人が差押不動産の共有持分を取得した事実は認められ...


... ▼ 裁決事例集 No.75 - 779頁  民法は、夫婦間の財産関係について夫婦別産制(同法第762条第1項)を採用し、婚姻費用の分担(同法第760条)及び日常家事債務の連帯責任(同法第761条)の...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30000.html

法人の代表取締役である請求人が、当該法人から契約上の地位を譲り受けた生命保険契約を解約したことにより受領した解約払戻金に係る一時所得の金額の計算上、当該法人が支...


... ▼ 平成27年4月21日裁決 《要旨》  法人の代表取締役である請求人は、同人が当該法人から契約上の地位を譲り受けた生命保険契約を解約したことにより受領した解約払戻金に係る一時所得の金額の計算上、当...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...90000.html

住宅ローンの連帯債務者が、団体信用生命保険に加入していた他の連帯債務者の死亡により住宅ローン債務が消滅したことにより受けた経済的利益は、一時所得に当たるとした事...


... ▼ 裁決事例集 No.72 - 218頁  請求人は、請求人の父の死亡に伴い、G銀行との間で請求人及び父を連帯債務者とする住宅ローン契約(以下「本件ローン契約」という。)の締結の際にG銀行が加入した...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...30000.html

一時払いの生命保険契約上の権利を退職金の一部として受領し、その後当該生命保険契約を解約したことにより解約返戻金を受領した場合の一時所得の金額の計算上控除する金額...


... ▼ 裁決事例集 No.62 - 161頁  原処分庁は、請求人が法人役員を退任した際に生命保険契約上の権利を退職金の一部として一時払いの生命保険契約の契約者及び受取人の名義を請求人に変更することによ...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...20000.html

所有不動産を売却する目的の甲売買契約が相手方都合により解約されたので、買換資産を取得する目的の乙売買契約をやむを得ず解約したとしても、両契約の売買物件、売主、買...


... 裁決事例集 No.40 - 33頁  請求人は、その所有不動産を売却する目的の甲売買契約を締結するとともに、その売却代金で買換資産を取得する目的の乙売買契約を締結したところ、甲売買契約が相手方都合に...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...70000.html

一括払いの積立普通傷害保険の保険料のうち満期返戻金等の原資となる積立保険料部分は、業務遂行上必要な費用とは認められないから、保険料支払のための借入金に係る利息の...


... ▼ 裁決事例集 No.46 - 21頁  請求人は、積立普通傷害保険の保険料を、借入金により支払ったものであるが、当該保険契約に係る保険料は、傷害保険料と積立保険料から構成されており、積立保険料は積...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...50000.html

移転補償金のうち、移転先土地に要した造成費は一時所得の総収入金額に算入されないとの請求人の主張が排斥された事例


... ▼ 裁決事例集 No.60 - 256頁  請求人は、公共事業の施行に伴いM市から建物等の移転補償金として交付された金額のうち、移転先土地に要した造成費は、移転先土地が田であり、宅地造成しなければ移...

詳細を表示する

裁決事例 https://www.kfs.go.jp/service/...40000.html

裁判上の和解により買主である請求人が支払を受けた和解金を一時所得に該当するものであるとした事例


... 裁決事例集 No.23 - 28頁  不動産の売買契約に関する約定を当事者双方が履行しなかったことを原因としてなされた裁判上の和解により買主である請求人が支払を受けた和解金は、売買契約の合意解除に伴...

詳細を表示する