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賠償事例 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2018年7月1日~2019年6月30日) | 日税連保険サービス

合併に際して誤ったアドバイスをしたため繰越欠損金の期限切れとなり過大納付法人税額が発生した事例



【概要】
 税理士は、株主及び代表取締役が同一であるA社とB 社の合併に際し、どちらの会社を合併法人とするか相談を受けた。A 社には繰越欠損金があり、A 社で営まれている事業からは所得が発生しておらず、今後も所得が発生する見込みはなかった。B社には繰越欠損金がなく、合併の直前に固定資産の売却により多額の所得が発生する見込みであった。
 税理士は、A 社を合併法人とした場合でもB 社の固定資産の売却による所得に対してA 社の繰越欠損金を引継ぐことができると誤認して、A 社を合併法人とした方が登記費用の面で有利であると助言を行い、依頼者は税理士の助言に従ってA社を合併法人とした。
 税理士は、B社の最終事業年度の確定申告に際し、A社の繰越欠損金を引継ぐことができないことに気付き依頼者に説明したものの、その後、A社の繰越欠損金が期限切れとなったことから法人税が過大納付となることが確定し、結果として税理士は依頼者から損害賠償請求を受けた。


【詳細】
事故発覚の経緯
●税理士は、被合併法人B社の最終事業年度の確定申告に際し、合併法人A社の繰越欠損金を引継ぐことができないことに気付き発覚した。

事故の原因
●適格合併を行った場合には、一定の要件を満たせば、被合併法人の繰越欠損金を合併法人に引継ぐことができる。また、被合併法人の営んでいた事業から生じる所得については、合併後は合併法人の繰越欠損金を利用することができる。しかしながら、本件の被合併法人の最終事業年度に生じた所得については合併前であり、合併法人の繰越欠損金を引継ぐことができないものであった。
●税理士は、A社を合併法人とした場合でもB社の固定資産の売却による所得に対してA社の繰越欠損金を引継ぐことができると誤認し、A社を合併法人としたほうが登記費用の面で有利であるとの助言を行い、依頼者は税理士の助言に従ってA社を合併法人とした。

税賠保険における判断
●税理士は、依頼者からの相談に対して十分な検討や確認を怠ったことから、誤った助言を行ってしまった。税理士が助言を誤らなければ繰越欠損金の期限切れは生じなかったことから、税理士に責任ありと判断された。
●合併に際してどの会社を合併法人とするかといった相談は、課税要件の事実発生前に行う税務にかかわる指導・助言に該当することから、発生した過大納付法人税額は事前税務相談業務担保特約の保険金支払対象となった。

支払保険金
●発生した過大納付法人税額2,000万円を認容損害額とし、免責金額30万円を控除した約1,970万円が保険金として支払われた。





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