TOP 開示資料 トピック 賠償事例 裁決事例 関係法令 法令翻訳 英訳情報 用語英訳


<<  戻る

賠償事例 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2018年7月1日~2019年6月30日) | 日税連保険サービス

不動産譲渡時期についての助言を誤り過大納付税額が発生した事例



【概要】
 税理士は、依頼者が新たな建物を購入し賃貸事業に供するため建築賃貸事業の法人化に関する相談を受けた。依頼者に対して建物賃貸事業の概要を説明する際に、税理士は建物を法人に移転する際の譲渡は短期譲渡所得に該当するところを、誤って長期譲渡所得に該当するものとしてシミュレーションを行ってしまった。その後、依頼者は建物の譲渡先である株式会社を設立し、税理士の助言に基づき譲渡を行った。
 後日税理士は、建物の所有権移転登記完了後の全部事項証明書を取り寄せた際に新築の日と売買の日を改めて見直し、誤りが発覚した。短期譲渡に係る税負担ほどの金額になるのであれば移転することを決断しなかったとして、税理士は依頼者から損害賠償請求を受けた。


【詳細】
事故発覚の経緯
●税理士が、後日、建物の所有権移転登記完了後の全部事項証明書を取り寄せた際に、新築日と売買日を改めて見直した際に、誤りに気が付いた。
●依頼者は、所得税対策として始めた法人設立・マンション移転の計画であり、できる限り支出を抑えることが主な目的であるにもかかわらず、税理士の誤りにより想定していた税額よりも大幅に過大になることは到底受け入れることはできないと主張した。

事故の原因
●本件は、事務所内で複数の担当者が関わった事案であり、資料や諸事情は事務所全員が共有していたが、誰も短期譲渡に該当することに気が付かず、税金の計算及び譲渡時期を誤って提案する結果となった。

税賠保険における判断
●税理士は、建物の新築段階から関与しており、建物の取得時期を、法人化の相談を受ける前から知っていた。それにもかかわらず、建物の譲渡が長期譲渡所得に該当するものとして誤ったシミュレーションに基づく助言をしたことは、税理士に責任ありと判断された。
●どの時期に法人を設立すれば税務上効果的か等の相談は、課税要件の事実発生前に行う税務にかかわる指導・助言に該当することから、発生した過大納付法人税額は事前税務相談業務担保特約の保険金支払対象となった。

支払保険金
●発生した過大納付所得税額等約900万円を認容損害額とし、免責金額30万円を控除した約830万円が保険金として支払われた。





類似の損害賠償請求事例

賠償事例 不動産 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2018年7月1日~2019年6月30日) | 日税連保険サービス

不動産譲渡時期についての助言を誤り過大納付税額が発生した事例


 税理士は、依頼者が新たな建物を購入し賃貸事業に供するため建築賃貸事業の法人化に関する相談を受けた。依頼者に対して建物賃貸事業の概要を説明する際に、税理士は建物を法人に移転する際の譲渡は短期譲渡所得に...

賠償事例 法人税 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2019年7月1日~2020年6月30日) | 日税連保険サービス

法人所有不動産の売却にかかる税務相談に対する助言誤りにより、過大納付法人税額が発生した事例


 税理士は、平成29年12月、依頼者法人から平成30年5月期の所有不動産の売却による譲渡損失計上(譲渡益が生じる不動産売却があるため、譲渡損失計上による税負担軽減効果を目的とするもの)のための譲渡方策...

賠償事例 消費税 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2018年7月1日~2019年6月30日) | 日税連保険サービス

課税事業者選択届出書提出失念により過大納付消費税額が発生した事例


 税理士は、平成27年6月、依頼者から翌年の賃貸用不動産購入に関する相談を受けた際に、消費税の還付について説明し、還付を受けるためには年末までに課税事業者選択届出書を提出することが必要である旨を伝えた...

賠償事例 法人税 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2018年7月1日~2019年6月30日) | 日税連保険サービス

増資のシミュレーションにおいて、外形標準課税のメリットのみを考慮し、留保金課税のデメリットを考慮しなかったため過大納付税額が発生した事例


 税理士は、平成29 年10月、依頼者法人より税金対策の相談を受け、資本金1億円超への増資による事業税の外形標準課税適用の税効果について説明したところ、有利不利の税負担シミュレーションの依頼を受け、後...

賠償事例 法人税 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2018年7月1日~2019年6月30日) | 日税連保険サービス

合併に際して誤ったアドバイスをしたため繰越欠損金の期限切れとなり過大納付法人税額が発生した事例


 税理士は、株主及び代表取締役が同一であるA社とB 社の合併に際し、どちらの会社を合併法人とするか相談を受けた。A 社には繰越欠損金があり、A 社で営まれている事業からは所得が発生しておらず、今後も所...

賠償事例 相続税 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2018年7月1日~2019年6月30日) | 日税連保険サービス

(保険金が支払われなかった事例) 非上場株式等についての贈与税の納税猶予(事業承継税制)の特例措置が適用されず過大納付となった事例


 税理士は、依頼者が事業を引き継ぐため、非上場株式の贈与を受けたい旨の相談を受けた。  株価評価を行ったところ、業歴の長い法人であったため、非上場株式の評価も高く、贈与にあたり贈与税の納税負担が相応...

賠償事例 消費税 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2019年7月1日~2020年6月30日) | 日税連保険サービス

誤った会計処理と不利な個別対応方式選択により過大納付消費税額が発生した事例


 税理士は、平成25年3月、依頼者から平成26年に賃貸用住宅取得に関する相談を受けた。  依頼者は平成25年10月、賃貸用住宅の建物建設請負契約書を締結し、平成26年10月には建物賃貸借契約書(賃貸...

賠償事例 法人税 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2019年7月1日~2020年6月30日) | 日税連保険サービス

依頼者の不正会計を見破れなかったこと及び所得拡大促進税制の適用を失念したことにより過大納付法人税額が発生した事例


 依頼者法人の社長は、平成20年頃から平成31年頃までの間に、依頼者法人の現預金から約2億円の現金を業務上横領した。会計上では現預金から仮払いを受けたことにし、後日現金で返金したものとして処理されてい...

賠償事例 所得税 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2019年7月1日~2020年6月30日) | 日税連保険サービス

被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の適用を失念したことにより、過大納付所得税額が発生した事例


 税理士は、依頼者の令和元年分の所得税につき、相続により取得した被相続人の居住用財産の譲渡に被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合の3,000万円の特別控除(以下、空き家に係る3,000万円の特...