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賠償事例 税理士職業賠償責任保険 事故事例(2019年7月1日~2020年6月30日) | 日税連保険サービス

簡易課税制度選択不適用届出書の提出失念により過大納付消費税額が発生した事例 (3)



【概要】
 税理士は、平成27年12月、依頼者法人から貸付用建物購入計画の報告を受け、消費税還付の説明を行い、翌年1月に消費税還付のシミュレーションを報告したが、簡易課税制度選択の有無の確認を怠った。
 その後、3月に課税事業者選択届出書(平成28年4月1日適用開始)を提出し、依頼者法人は4月に賃貸用建物売買契約書を締結し賃貸を開始した。
 平成29年5月、平成29年3月期決算申告作業の際、簡易課税制度適用事業者であることが判明し、本件過誤が発覚した。翌日、税理士は依頼者法人に過誤を報告したところ、依頼者法人から損害賠償請求を受けた。


【詳細】
事故発覚の経緯
●平成29年3月期決算申告作業の際、税務署より送付されてきた消費税の確定申告書が簡易課税用であったことから簡易課税適用事業者であることが判明し、事故が発覚した。

事故の原因
●税理士は、依頼者法人から平成27年12月にビル購入の報告を受け、翌年1月に消費税還付のシミュレーションを示した際に還付申告手続きの依頼を受けたが、簡易課税制度が選択されているか否かの確認を怠ったため。

税賠保険における判断
●簡易課税制度選択不適用届出書の提出を失念し、平成29年3月期の消費税申告が簡易課税制度適用となったことは、税理士に責任ありと判断された。

支払保険金
●過大納付消費税額約950万円から税効果による回復額約350万円を差し引いた約600万円を認容損害額とし、免責金額30万円を控除した約570万円が保険金として支払われた。
●なお、本件事故は「調整対象固定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例」に該当するため、原則課税で還付が受けられた場合には、3年間原則課税の課税事業者として拘束される。したがって、簡易課税が適用でき有利な場合には、損害期の翌期及び翌々期の簡易課税と原則課税との差額が回復額となる。



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